起こりました。
私が夕方頃、学校から帰ってきて、玄関のドアを開けた時です。
いつもなら居間には母がいて、キッチンで夕食を作っているはずであるのに、
居間の方は真っ暗でした。電気が消えています。
「お母さん、どこにいるのー?」
私は玄関からそう言いましたが、家の中はしんと静まりかえって、
まるで人の気配がしません。
カギは開いているのに・・・掛け忘れて買い物にでも行ったのだろうか。
のんきな母なので、たまにこういう事もあるのです。
やれやれと思いながら、靴を脱いで家に上がろうとしたその瞬間。

「カン、カン」

居間の方で何かの音がしました。
私は全身の血という血が、一気に凍りついたような気がしました。
数年前と、そして昨日と全く同じあの音。ダメだ。
これ以上ここに居てはいけない。恐怖への本能が理性をかき消しました。

ドアを乱暴に開け、無我夢中でアパートの階段を駆け下りました。
一体、何があったのだろうか?お母さんは何処にいるの?妹は?
家族の事を考えて、さっきの音を何とかして忘れようとしました。
これ以上アレの事を考えていると気が狂ってしまいそうだったのです。
すっかり暗くなった路地を走りに走った挙句、私は近くのスーパーに来ていました。
「お母さん、きっと買い物してるよね」一人で呟き、切れた息を取り戻しながら中に
入りました。
時間帯が時間帯なので、店の中に人はあまりいなかった。
私と同じくらいの中学生らしき人もいれば、夕食の材料を調達しに来たと見える、
主婦っぽい人もいた。その至って通常の光景を見て、少しだけ気分が
落ち着いてきたので、私は先ほど家で起こった事を考えました。


真っ暗な居間、開いていたカギ、そしてあの金属音。
家の中には誰もいなかったはず。アレ以外は。
私が玄関先で母を呼んだ時の、あの家の異様な静けさ。
あの状態で人なんかいるはずがない・・・。

でも、もし居たら?私は玄関までしか入っていないので、ちゃんと中を見ていない。
ただ電気が消えていただけ。
もしかすると母はどこかの部屋で寝ていて、私の声に気付かなかっただけかもしれない。
何とかして確かめたい。
そう思い、私は家に電話を掛けてみることにしたのです。

スーパーの脇にある公衆電話。
お金を入れて、震える指で慎重に番号を押していきました。
受話器を持つ手の震えが止まりません。
1回、2回、3回・・・・コール音が頭の奥まで響いてきます。

この怖い話はどうでしたか?

コメント(7)

最初は面白かったけどお姉さんがその女の顔を見た後の展開がちょっと微妙かも…そこがちゃんとしてれば最後まで怖かった。

まるで最初から今までずっと家にいたかのような言い方?よー分からん?

上手い!

お母さんには見えてないだけかもしれない しかもこの話後日談がありますけどそれは載せないんですか?

その後は?!

あははは

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