があり、鼻には打撲の痕、脚と腹と陰嚢には切り傷がついていた。近くには壊れたハサミが落ちていた。一方の刃は折れ、もう一方は折れ曲がっていた。死因は窒息で、首に指の痕がなく舌骨が折れていないことから、ごく弱い力でじわじわ絞められたのだろうと思われる。

死因は「子供による絞殺」と断定された。警察はマーティン・ブラウンの件を思い出した。彼もまた子供に絞め殺されたのでは?力が弱いために圧痕が残らずわからなかったのだ。

警察はスコッツウッドの約1000軒の家庭を訪ね、3歳から15歳までの子供たち約1200人に質問用紙を配付した。子供たちの答えの中で矛盾が特に多かった者がメアリーとノーマだった。

メアリーはほかの男児に罪をきせようと、「あの子がブライアンと一緒に歩いていて、ブライアンを叩いてた。それにハサミを持ってたみたい」と言った。しかし死体の傍にハサミがあったことは公表されておらず、メアリーは墓穴をみずから掘るかたちで逮捕された。

逮捕されたメアリーは11歳の子供とは思えないほど冷静であり、苛烈だった。
「あんたたちはあたしを洗脳しようとしてる。弁護士を呼んでここから出してもらいます。」

しかしノーマがメアリーの犯行を証言したため、容疑はほぼ確定した。メアリーは今度はノーマに罪を押しつけようとしたが、誰もこれを信じはしなかった。

メアリーを見た精神科医はこの少女を「利口、戦略的、危険」と評した。しかし留置所でメアリーを担当した係官は、彼女の違った面を目にしている。
メアリーは「おねしょをしたらいけない」と夜通しトイレに行き、ほぼ一睡もしなかったという。夜尿を心底恐れ、怯えていたのだ。

― 恐るべき少女の生い立ち ―
メアリー・フローラ・ベルは1957年5月26日、17歳のシングルマザーのもとに生まれた。父親は不明で、母は生まれたわが子を初めて見た瞬間に、「それを片付けてちょうだい」と叫んだという。
メアリーは母からの愛情を感じることなく育ち、1歳のときには母親に精神安定剤を飲まされて病院へ運ばれたこともある。数年後にも、メアリーは窓から転落しかけたり、鉄剤を「誤って」飲み、入院騒ぎになったことがある。これらはきっと偶然ではないのであろう。しかし誰もメアリーを助けてはくれなかった。

母親はしばしば子供を置いて失踪し、メアリーは義父とともにあちこちの住居を居候として転々とした。メアリーは風呂にも入れず、頭にはシ

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悲しい話

この事件、テレビでも特集があったけれど、なんでメアリーの母親は何の罰も受けないのだろうね? 今も、世界中で幼児虐待が行われて居るにも関わらず、親が逮捕されるケースは極々一部だと言う。 少子化がどうとかの以前の問題だと思う。

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