これは数年前の年末の出来事です。
もう過ぎてしまいましたが、年の瀬と言えば忘年会ですよね。
その時も会社の付き合いで忘年会に参加し、帰るころには夜の10時を回っていたと思います。
田舎の寂れた駅で、終電が近いこともあり、ホームには自分以外に誰もいませんでした。

電車が来るまでには少し時間があったので、ホームのベンチに腰掛け、一息ついていました。
何気なく線路のほうを眺めていると、視界の片隅に白いモヤッとした物が入ってきました。
よく見るとそれは人の顔でした。
「人が線路を歩いてる?」
そう思いました。でも何かがおかしい・・。

その人はロングヘアの女性だったのですが、首から上が完全に見えています。
「ホームって意外と高さがあるはず・・。大人でも首から上が全部見えるっておかしくないか?」
そんなことを考えている間にも、その顔は右から左へ線路を歩くように移動しています。
そしてほぼ自分の目の前まで来た時、僕は見てしまったのです。

「首から下が・・無い!!」

次の瞬間、ずっと進行方向を向いていたその首は僕のほうを向き、睨みつけてきました。
その目はまるで空洞のように真っ黒でした。
そしてものすごいスピードで僕に向かってきたのです。

「ぶつかる!!」

僕は咄嗟に目を瞑り、身を守る姿勢を取りました。
どれぐらいそうしていたでしょうか。
時間にしてほんの数秒だと思いますが、僕にはとても長い時間に感じられました。
おそるおそる目を開けてみると、もうさっきの首は何処にもありませんでした。

『まもなく○番線に電車が参ります~白線の内側に~・・・』

そのアナウンスで我に返り、滑り込んできた電車に飛び乗りました。
家に着くまで僕はずっと震えていました。
もうあの駅を利用することはないでしょう。
今でもあの空洞のような目が頭にこびり付いて離れません。

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コメント(4)

その話、珍しい話ですね。怪談の中では

ロングヘアーの霊ばっかり出て来るけど、黒ロングの女性って少ないんですよね。。

それいっつも思う。いつの時代やねん!って。茶髪の幽霊もっと普及しててもええんちゃうかな。

まったく・・

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