その頃僕は、結婚の約束をした彼女がいた。
彼女も好きだったが、彼女の両親も大好きだった。
なにかと家に上がり込んでは、家族のように一緒にお酒を飲んだり御飯を食べたりと、まるで息子のように可愛いがってもらっていた。
ところが、ある日。
彼女のお父さんが倒れた。
末期ガンだった。
もう手の施しようもない状態だった。
僕は出来る限り毎日、病院に通った。
枕元で僕はお父さんの細くなった手を握り、彼女を幸せにすると約束した。
ある日仕事で遅くなり、終電で家に帰った。
部屋の灯りをつけた時に気付いた。
壁の時計が止まっている。
みると目覚まし時計も。
置き時計までが、全て同じ時間で止まっている。
その時、家の電話が鳴りだした。
彼女からだった。
お父さんが、お父さんが‼︎
それだけ言うと彼女は泣きくずれた。
お父さんが亡くなったのは、僕の部屋の時計の針が示していた時間だった。
あいつを頼むよ。
最後にお父さんが挨拶にきてくれたのだと、僕は思った。
この怖い話はどうでしたか?
コメント(7)
いい話し
結梅
良い話。
究極のSGO
怖いわけじゃないけど切なく悲しい話ですね(/。\)
コロクロ
お父さんいい人ですね
ブルー
微妙
匿名
結婚したの?ちゃんと彼女を幸せにしてる?
ルチェ
泣ける~~~~~~~~。 きっとそのお父さんはあなたに娘さんを安心して託したんですね。
匿名