これは私が高校1年生の時、実際に体験した話です。

私の通う高校には、マラソン大会がある。
時期が近づくと体育の授業がマラソンの練習になっていた。
練習の内容は、学校周辺の決められた道を授業の時間内に走ってくるというものです。

長距離走の苦手な私は、みんなに置いていかれて、いつも一人で走っていました。

その日も、一人で走っていました。

この坂を登れば学校に着くというところで、ふと、笑い声が聞こえました。
小学校低学年くらいの男の子の声です。

その辺りは住宅街だったので、声ぐらい聞こえるか…と最初は気にしませんでした。
通行人も車も通らず、聞こえるのは自分の足音と男の子の笑い声だけ。

(小学生なら普通、今の時間帯は学校行ってるんじゃ…?)

そんな事を考えながら、のんびりと走る間も声は聞こえていた。

ずっと同じ方向から…

(あっちに公園とかあったかな?)

さすがにちょっと気になって、声のする方を向いた。
家が立ち並ぶだけで、特に何もない。

(気にしても仕方ないか…)

と思った時、笑い声が突然、真逆の方向から聞こえた。
驚いて振り向くと、何も見えはしなかったが、笑い声が別の方向から聞こえ、そちらを向けばまた別の方向から…
というのを何度か繰り返し、怖くなった私は、疲れも忘れて全力疾走で学校まで走った。

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