あるタクシー会社に勤めるNさんは 後1ヶ月で定年を迎えようとしていました。

その頃のタクシー会社は何処も景気が悪く タクシーを使う客は 専ら飲み屋帰りのサラリーマンやホステス等が利用していたぐらいでした。

昼間は お年寄り達が利用する事も有りましたが 病院への送迎やワンメーターの短い距離を移動するものばかりでした。

定年前にもう少し稼いでおきたいなぁ…それがNさんの口癖みたいになっていました。


そんな 客足が伸びない日が何日か続いたある終電が走り去った雨の降る日 繁華街を過ぎた辺りで 1人の若い女性を乗せた事で 今までの客足が嘘の様に Nさんに幸運が舞い降りました。

その女性は タクシーに乗り込むと 直ぐに 「○○○へ行って下さい。 」と小さな声で言った。
Nさんは聞き間違えたかと思って バックミラーで後ろの女性を見ながら 行き先を繰り返しました。

N 「○○○ですか?」

そうNさんが聞き返すと 女性は 俯きかげんに小さく頷きながら小さな声で答えた。

女 「はい。」

N 「○○○ですと…高速を使いますが…構いませんか?」

女 「はい。構いません。」

N 「そうですか。では走ります。」

Nさんは 心の中でガッツポーズをした。

久し振りの長距離の客だった。

暫く車を走らせていると 国道沿いに最後のコンビニが見えて来た。

女 「すみません。ちょっとあのコンビニに寄って貰えませんか?何だか喉乾いちゃって。」

滅多に乗せない長距離の客を乗せた事に 気を良くしていたNさんは 「はいはい。」と返事をして タクシーをコンビニの駐車場に止めた。

女 「すぐ帰って来ますから ちょっと待ってて下さい。」

そういって女性はタクシーを降り コンビニの中へ入って行った。
5分も掛からず女性はタクシーの所へ帰って来た。

Nさんがドアを開けると 後部座席から中に顔を入れてこんな事を言って来た。

女 「あの…助手席に座っちゃ駄目ですか?何だか後で黙って座ってるのも 退屈してしまって…。」

と 少し申し訳なさそうに言った。

Nさんは どうせ長距離なんだし 助手席に乗せて話ながら言ってもいいか。
と考えて 助手席の荷物を運転席のドアの間に移動させ 女性を助手席に座らせた。

女 「すみませ~ん。」

そういって助手席に座り込むと Nさんに珈琲の缶をどうぞと渡して来た。

N 「あっすいません。」

そうい

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Comment(3)

なんか悲しいね

した人は成仏なんて出来ないよ

生きていくことは大変。成仏できますように!

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