中学生の頃に近所が騒がしくなったことがある。
違う班の人が夜な夜な家々の玄関先で土下座してまわっていた。誰も応じる者はなく、誰も理由を教えてくれないので怖いというより恐怖だった。次の日から集団の集団登下校になり、みんなでワイワイと行ったり来たりして楽しかったのですぐに忘れた。

確か私が車を持つようになったころに、忌み嫌われている家に子供連れの男の人が出入りするのを見かけた。ただ、母親の姿がなくて不思議に思い、親にそれとなく聞いてみた。親はもう終わったことだからと前置きしてから、その家の長男が模範囚で出てきたことを教えてくれた。毎日毎日、被害者の人に謝罪の手紙を書いて、電話をして、心の底から自分の行為を謝罪したらしい・・。
気が付くと長男坊さんは村の草刈りなどにも積極的に参加して、どんな雑用でもなんでも手伝っていた。確かに、以前の人を避けるような暗い長男坊とは別人のようだった。でも、自分はなんだか引っかかるものがあり、ネットでその事件を調べてみた。
すると、お兄さんは小さい子への悪戯だけでなく、隣町で行方不明になった幼児誘拐の容疑者でもあることが分かった。行方不明の幼児はお兄さんと家に出入りする子供とそっくりだった。
お兄さんは何を反省したのかと思うとゾッとした。

それで結婚してからは地元へ帰ってない。

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