今日はすごく忙しくて疲れたな…。
夕方、自宅に帰るなり僕は畳の上に寝転がり目をつぶる。
僕がこの築40年の木造2階建てのアパートで一人暮らしを始めてから半年が経つ。
住めば都とはよく言ったものだ。
最初は気になっていたアパートの住民の話し声、テレビの音、足音すらも今となっては優しい子守唄のように聞こえてくる。
さらに追い打ちをかけるかのように、ザーザーと降り始めた雨の音が疲れきった僕を眠りへと誘った。
どのくらい寝たのだろうか。
「ピローンッ!」
メールの音で目が覚める。
友人からだった。
【今夜、しし座流星群が見れるらしいから一緒に見に行かないか?】
っという内容だった。
時計を見ると時刻は20時を指していた。
興味はあったが、身体が疲れすぎてとても見に行ける状態ではない。
【悪い。今日は体調が悪いからパスで】
友人に断りのメールを返す。
しばらくして、家のインターホンが「ピンポーン」と鳴った。
僕は重い身体を上げ、玄関を開けると隣に住む女が立っていた。
雨で濡れたのか全身ずぶ濡れだった。
「あの、急遽遠くに行くことになったのでご挨拶にと思いまして…」っと女が言った。
「あぁ、そんなんですか。わざわざご丁寧にありがとうございます。」
僕がそう答えると、女は会釈をし去っていった。
今どき、わざわざ引っ越しのあいさつに来るなんて謙虚な人だな…。
僕はそんなことを思いながら、夜ごはんを食べ、今度はちゃんと寝ようと布団に入り眠りについた。
ザーザーと雨はまだ降り続けていた。
翌朝、外が騒がしくて目が覚める。
どうやら隣の女が風呂場で手首を切って自殺したらしい。
遠くへ行くってそういう意味だったのか…。
何だか僕はいたたまれない気持ちになった。
↓
↓
↓
解説へ
↓
↓
↓
解説
雨が降っているのに友人がしし座流星群を見に行こう。っと誘うのはおかしい。
僕が聞いた雨の音は隣の女が風呂場で手首を切ったときのシャワーの音。さらにずぶ濡れの女を見て、外も見ずに雨が降ってる思いこん
How about this story?
Comment(5)
途中から、「友人とのメールとどう関係あるの?」思ってましたが、そういうことかー! ………怖いっすね。
マーリン
最後少し、怖かったよ。
さ
怖かったです。
しゆか
あなたと生前の女の人とのエピソードがあると良かったかと思います
ホルモン8192
切ないお話しでした
じゅん