あれは、就職2年目の5月下旬のことでした。
私が就職した会社は、休日出勤が多いのですが、代わりにしっかりと平日に振替休暇を頂けます。
その日も平日休みを頂き、ゆっくりと月曜日の朝を過ごしていました。

気持ちの良い初夏の晴天。
せっかくなので、私は、ツーリングに行くことにしました。

その日は夕方から予定があったので遠出はできませんでした。
そこで、今まで近すぎて行ったことが無かった近場の海浜公園へ行って、おにぎりでも食べながら海を眺めてキャンプ気分を味わおうと思い立ちました。

私は就職してから都内へ引っ越したので、会社までの道のりなどは記憶していましたが、土地勘はあまりありませんでした。

Googleマップで検索すると、目的地まで車で30分ほど。
スマートフォンでナビを起動させ、中型バイクのハンドルに取り付け、比較的軽装で出発しました。

海浜公園までの道のりはほぼ直線で、私は緊張感もなく走っていました。

しかし、海浜公園まであと3分とナビに表示されたあたりで、急にナビが進まなくなってしまいました。

スマートフォンのナビがフリーズしてしまうのはよくある事だったので、さして気にせず、あと3分くらいなら道なりに行けば着くだろうと思い、そのまま進みました。

一本道の周りは、防風林が並び、その間からたまに、穏やかな海が見えました。
爽やかな風が吹いていて、そのときはただ走ってるだけで楽しかったのを覚えています。

あと3分にしては長すぎる距離を走っていると、道の先に浜が見えました。
ホームページでは親子連れが賑わっているように書いてありましたが、その日は一人も利用客はいませんでした。
私は、平日だからだろうと気楽に考えていました。

どこかにバイク置き場があるはずだったのですが、どこにも見当たらず、仕方ないのでなるべく端に寄せてバイクをとめました。
他の車が来たときのために、バイクが見える距離でゆっくりおにぎりを食べよう。
そう思い、砂浜に足を踏み入れると、足元を低空で無数の小さなものが飛んでいくのが見えました。

そのときは、大きなハエかな。と少し嫌悪感を抱きました。
顔をあげると、靄がかかったように遠くが青く霞んで見えます。

さっきまでは普通に見通しが良かったのに、おかしいな。と思って目を擦ったり、瞬きをしたりしていると、遠くから鳶が飛んでくるのが見えました。

かなり低い所を飛んでいます。
近くで飛行

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Comment(2)

そのような夢を見たのでしょう

ただ単に怖いだけでなく、もの哀しく美しい話でした。 こういう余韻を感じさせる話は好きです。

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