私はよく金縛りに合います。
それが霊的なものなのか、単なる疲れからくるものか、私には分かりません。

ある夜、また金縛りに合いました。
金縛りは疲れるからイヤなんだよなぁ…なんて思いながら、解けるのを待ちました。

コツコツ、コツコツ…

何か硬い物を指で叩くような音が聞こえて来ました。
音はしばらく続きましたが、金縛りが解けるとなくなりました。

同じような金縛りが数日毎に3ヶ月程続き、その日も同じく金縛りと、コツコツ音が聞こえました。
金縛りが解けた後も、耳にコツコツ音が残っている感じがして、いつもより疲労を感じ、薄暗い部屋の中でベッドに腰掛け、テーブルに置いてあったペットボトルのお茶を飲みました。

コツコツ…

あの音が聞こえて来ました。
私は咄嗟に音のした方を見てしまいました。
そこには私が普段使っているドレッサーがあり、ベッドに腰かけた自分がポツンと映っています。

鏡に映った自分と目が合いました。その瞬間、鏡に映った自分の背後から、もう1人の自分が顔を出しました。
鏡に自分が二人映っている…。
驚いて振り返りましたが、私の背後には当然、誰もいません。
鏡に視線を戻しましたが、そこにはすでに自分しか映っていませんでした。

さすがに怖くてその日は部屋中電気をつけて朝まで過ごしました。
今まで聞こえていたコツコツ音は鏡の中から鏡を叩く音だったのではないか…。
私に鏡を覗かせるために。
そう思えてなりません。
それから、鏡には布を掛け、使うとき以外は自分が映らないようにしています。

そして、現在も金縛りになると、あのコツコツ音は聞こえて来ています。

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