タイトルが今年となってますが実際は三十年くらい前の話。

テトラポットって分かる?
よく海岸に行けば見かけるよね。
海岸沿いにズラーッと置かれてるヤツ。
(津波を防ぐもの)
三菱のマークに似たコンクリートで船虫がいるトコ。

今年の夏、楽しみにしていた花火大会を家族で隣町の海岸まで見に行ったの。

海岸に着くとたくさんの人たちが砂浜で風呂敷を敷いて打ち上がる花火に注目していました。
私たち家族も場所をとるのに苦労しましたが用意した風呂敷に座り、キレイな花火を観覧しました。

観覧してから一時間くらいした時、私たちから50mほど離れたところから女の人の悲鳴が聞こえたのです。

悲鳴がした辺りを見渡すとテトラポットの周辺にたくさんの人が集まっています。

私と弟も現場まで走って行きました。
あまりの人集りで何が起きてるのか分かりません。
そして何分かしてパトカーがやって来ました。
警官が降りてくると第一発見者らしい人が
早く!早く!
と急かします。
警官がどこだ?と聞くと発見者は
あそこ!あそこ!
と指を指します。
警官が人集りにどいて!どいて!と言うと私たちもそのスキに人集りに入って行きました。

発見者が指を指したほうを見ると
なんとテトラポットの下の地面に死後数ヶ月は経とう男の人の死体があったのです。
しかも死体にはおびただしいほどの船虫が集っていて警官が落ちていた竹の棒で突くと船虫がいっせいに散らばります。
近くにいた人たちがギャーッ!と叫んで逃げ出します。
私たちは気分が悪くなって両親のところに戻り、今の出来事を話すとすぐに家に帰ることにしました。

父が運転する車で帰る途中、対抗側から遺体搬送車らしい車とすれ違います。
きっと海岸へ向かっていたのでしょう。


でも良かったですね、男の人見つけてもらえて。

通常版で読む