私が幼稚園か小1だった頃

当時父の会社の社宅に住んでいて隣にも同じ家がありそこには1人暮らしのおばさん(60代)が住んでいた。

そのおばさんはとても優しくて挨拶するといつもお菓子やジュースなどをもらっていた。(とくに遊びに行く時や帰宅する時)

母ともよく立ち話をしたり時にはお茶菓子を持ってウチにオジャマになったりもしていた。

買い物にも何度か付き添ったりもした。

私(兄も)はおばさんに挨拶すればお菓子がもらえるといつも楽しみにしていた。

そんなある日 ー

私が家に帰宅すると兄が何故か落ち込んでいた。

私が

どうしたん?兄ちゃん?

と聞くと兄は、

隣のおばさんに挨拶したら無視された

は?

一瞬耳を疑った。

ウソや~たぶん聞こえんかったんやろ?

ウソやない!すぐ近くで挨拶したら何も言わんで家に入っていった

とても信じられなかった。

私は兄の言ったことを確かめるために明日の朝おばさんに挨拶してみることにした。

翌朝 ー

私が家の窓から外を覗くと隣のおばさんが小さい花壇の花に水をやっていた。

私は外に出て距離をとったまま挨拶してみた。

するとおばさん花に水をやるのを止め、背を向けて家へ入っていった。

兄の言ったことは本当だった。

私も無視されたショックは大きかった。

おばさんどうしたんやろか?
(まるで別人だった)
それから隣のおばさんを見かけることは少なくなった。

母におばさんのことを聞いても

最近見ないね~

の一言。

そしていつかの日曜日 ー

母が私と兄を連れて久々に隣のおばさんを買い物に誘ってみようと家を訪ねた。

家のガラス戸が開いていたので母が顔を覗くとおばさんが背を向けた姿勢でテレビを見ていた。

母が

こんにちは~

と挨拶するが返事をしない。

もう一度するがまるで本当に聞こえていないかのようだった。

別に耳栓をしているわけでもないのに。

兄は気分が悪くなり

早よ行こう

と母にせがむ。


母もだいぶ気にしていた。(この日から嫌悪感を覚えた)

その日以来おばさんに挨拶することはなくなった。

また別の日に私が兄と遊びに出かける時、隣の家を見ると窓ガラスのカーテンが動いた。

よく見るとカーテン越しに人影が立っているのが見える。

きっとアレがカーテン越しに私たちを見ていたのだろう。

それから3ヶ月ほどして隣のおばさんはどこかへ引っ越し

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