ひどい目に遭った

発端は先々週の3.11のときに被災地へ行ったこと

2011年の頃にはもう離れてたが、被災地のある所に住んでたことがある
それで二年経つってことで旧知をお見舞いに行ったんだ

2012年にも被災地に行ったんで、今回はどっちかって言うとお見舞いというより観光になってた
知り合いにお見舞いして近況を報告して、市場行って、被災の跡を見て回った

今思えばはしゃぎすぎたかもしれないな

比較的人がいる被災地は結構復興が進んでたが、山田町やら釜石鵜住居地区はほぼ壊滅状態のまま手付かずだった

被災地から帰ってきて、次の日俺は一人暮らししてるアパートに帰った
そこで最初の事態が起こった

3月12日、寝てたらパッと目が覚めた。時計見たら朝方5時頃。まだ真っ暗だった

んでもうひと寝入りするかってスマホの画面の電源を落とした瞬間、金縛りに合った

金縛りに遭った瞬間、「あ、こりゃダメなヤツだ」と思った。寝入り端に金縛りなんてよくあることだったが、
この時は金縛りに遭った瞬間に何とも言えない嫌な予感がした

俺のベッドはワンルームの壁際にあるんだが、俺は部屋の中心に背中を向ける感じで金縛りに遭ってた

すると男のしゃがれ声で「南無阿弥陀仏! 南無阿弥陀仏! 南無阿弥陀仏!」と
物凄い切羽詰まった声で唱え声が聞こえてきた

それと同時に、ベニヤ板を剥がすかへし折るかのような「ミシ……バキャ……」という音が聞こえてくる
それがどんどん近づいてきた

その瞬間、金縛り中なのにぞわーっと全身に悪寒が走った。金縛り中でも鳥肌って立つんだなとか思ったが
とにかく後ろから近づいてくるものを見たらとんでもないことになるという予感があった

たぶん金縛りに遭ってたのは一分もなかったが、とにかく般若心経を唱えまくった
こういう時のために丸暗記してたんだけどまさか実際に唱えることになるとは思わんかった

そのベニヤ板をへし折るような音がすぐ背中に来て「もうダメだー」と思った瞬間、人差し指が動いた
これで金縛りが解ける! と手と言わず足と言わず必死に動かしたら、金縛りが解けて男の念仏とベニヤ板を折るような音がバッと消えた

慌てて振り返ったが、もう部屋には何にもいなかった。助かったという安堵感が凄くて気絶しそうになった
時計見たら朝5時過ぎぐらいで、暗いとはいえ朝5時なのに幽霊って出る

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