これは約一年前に私の父が実際に体験した話です。
その出来事は会社から家に帰る途中で起きました。
いつものように車を走らせていた父はある信号で車を止めました。
なぜかこの時、嫌な感じが車に漂っていたそうです。
自分一人しか車内にいないのに誰かがいる気が・・・。
後ろを振り返ってみようと思いましたが怖くて向けません。
チラッと何気なくバックミラーに目を移したら、
なんと老いた男性が後部座席に座っていたのです。
誰も乗せた覚えのない父はすぐにそれがこの世のものではないと
理解しました。
体が硬直し冷や汗がでてきました。
信号が青になったので車を走らせることにしました。
どうしよう。どうしよう。
気を紛らわすためお気に入りの音楽でもかけよう。
・・・・・・・・。
「あれ音楽が流れない」
おかしいな。
この不思議な出来事に余計怖くなりました。
「もしかしたらさっきのは目の錯覚かな。
最近疲れていたし」
もう一度後ろを確認してみることにしてみました。
「なんだ、いないじゃないか。ただの考えすぎか。」
でもなんで音楽が流れないんだ?
そこで父は気絶しそうになりました。
音楽が流れない代わりにある声が小さく聞こえていたのです。
「ぃたぃ。ょくもォレを殺したな・・・」 と。
それから数日後あるニュースが流れ父はやっとあの出来事が
理解できました。
丁度父が出勤するときに使う道路でひき逃げ事故があり
その車が父の乗っていた車と同じでした。
轢かれ死んでしまったあの男性は犯人の車と父の車を勘違いしてしまったのでしょう。

通常版で読む