以前、つきあってた霊感の強い女性から聞いた話。
「これまで、いろんな霊体験してきて洒落にならんくらい怖い目にあったことってないの?」
って尋ねたら教えてくれた。
俺が聞き伝えでここで書いても、その時の恐怖の状況がうまく伝わるかどうかわからんが、これまで色んなとこで聞いた話の中ではダントツに怖かった。
 
舞台は今から19年前、某県の山中にある、Nダムというダム湖のそばで起こった実話です。
彼女は家電量販店で働いていて、その日、とある町に注文を 受けたテレビを一人で配達に行った。
たまたまその町には彼女の叔母が住んでいて、叔母さんの方にも私用があったから、配達の前に叔母さんの家に寄り、ついでにテレビの配達先の家を知らないかと叔母さんに尋ねると、お客さんの家は叔母さんの家から目と鼻の先で、テレビの配達も無事にすませた。  
帰る前、叔母さんに隣接するK市内に寄って帰りたいから、ここから近道はないのかと再度、尋ねたら、Nダムのそばを通る裏道を教えてもらった。
 そして、彼女はその道を通って帰路についた。
その日は昼間から曇天で薄暗かったらしいが、あまり気にせずに近道と教わった山中の一本道をずっと走っていたのだが、そろそろ山を下ってK市内に出てもいいはずなのに、一向に山道を抜けないし、それどころかアスファルトの舗装もなくなり、車が一台通れる程度のすごく狭いデコボコ道になってきた。
 彼女はさすがに道を間違えたのかな?と不安になっていたら、ちょうどそこに 農作業の帰り道とおぼしき一人のお婆さんが通りかかった。
彼女がそのお婆さんに
「すみません。この道はK市に抜ける道であってますか?」
と尋ねると
「いや、この道は違うけえ。この先もうちょっと行った所に民家があって、そこの家の前が広うなっとるけえ、そこでUターンしんさい」
と親切に教えてくれたそうだ。
 彼女はお礼を言い、教えてもらった民家まで車を進めた。
 しばらく行くとお婆さんの言った通りに民家が見えてきたのだが、それがこんな山中になんで?っていうくらい大きな屋敷で、母屋の他に納屋と倉まで建っている、昔の豪農のようなたたずまいだった。
 ともかく彼女はその家の前を借りて、車をUターンさせようとした、その時、先程、道を教えてもらったお婆さんがなぜか車の横に立っている。
 
 車でかなり走ってきたのに、なんでさっき別れたばかりのお婆さんがこんなところに?彼女は気味が悪くなっ

通常版で読む