昨日は家族全員、晩ご飯は要らないと言うので
買い物がてら自分も外食する事にした。

最初に買い物を済ませて荷物をコインロッカーに預け

“さて、何を食べようかな?” と思案していると

背後から声をかけられた。



振り向くと70代と思しき ご婦人だった。

『ここから〇〇霊園行きのバスは出ていますかねぇ?』

と訊ねられた。

スーパーの向かいにバスセンターが あるので
そこから出るバスの事を訊いているのだと
思ったが、私は たまに地下鉄に乗る事は
あるがバスは乗らないので

『すいません。
私、バスに乗らないので ちょっと分からないんですよね。
窓口で訊いてみて下さい。』

と答えるしかなかった。



すると婦人は有難う、と一礼して
去って行った。




その後ろ姿がスーッと薄くなり
唖然としていると間もなく完全に
消えてしまった。

今、自分は何を見たんだろう? と
頭の中は?マークで いっぱいだった。



そして、『ママー ママー!』と叫ぶ声で
我に返った。



私の後ろに女の子が居て
女の子も婦人が消えた方向を見つめたまま
母親を呼んでいた。

おそらくは、女の子も婦人が消えるのを
見たのでしょう。



瞬間、私は その場を急いで離れた。
母親が来た時、何かを説明しなければならない
状況になったとして、一体、何をどう話せば
いいのか…

また、ご婦人が消えたのは
本当なのか…

その女の子も本当に同じものを
見ていたのか…


いろんな事が頭の中をよぎり
軽くパニックになっていたのかも
しれません。


食欲は失せてしまいましたが、帰るにしても
ほとぼりが冷めるまではコインロッカーまで
戻る気には なれませんでした。

とりあえず、店内の珈琲専門店に入って
時間を潰し、気持ちを落ち着かせてから
帰宅した次第である。



今思えば、先日の地震で〇〇霊園の墓石は
倒れたり崩れたりで大変な事になっていると
報道されていた。



もしかしたら…





あの ご婦人は自分の墓石が どうなっているのか
確認したかったのでしょうか?…

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