今日はU子さんの母の40歳誕生日です。
U子さんはおかあさんに誕生日カードを作りました。
お母さんが話し始めました。
「女の子がいたの。」
U子の母はいつも
こんな話し方だったので、
誰?とは聞きませんでした。
「女の子が産まれた時、あるお坊さんが通りかかったの。
お坊さんは、〈その子には死神が付いている〉と言うの。
でも、やっと産まれた可愛い孫にそんなこと言われたから、その子のおじいさんは、〈その死神は、わしが変わってやる〉って。」
(ふーん。)
「それで 数時間後、おじいさんが亡くなったの。それから10年後、その子が10歳の誕生日ね。お婆さんが亡くなったの。」
(そんなに立て続けに?)
「そして、その子の20歳の誕生日。
友達が祝ってくれたの。レストランで、食事をして、
その子の家まで友達が送って行ってくれたの。家の前で別れて、
女の子が家に入ろうとしたら、ガンって
何かがぶつかる音がしたの。
見に行ったら、友達の車が別の車とぶつかって、両方の運転手が亡くなっていたの。」
(えっ⁈)
「それで、その子の30歳の誕生日。
その子の旦那さんが亡くなったの。」
(…私にはお父さんがいない…)
「…もうわかった?死神って、その子の事だったの。十年ごとにその子を大切にしてくれていた人が亡くなるの。
私の…」
U子さんが持っている誕生日カードが
カサリと音を立てた。