これは、私が中学生の時の数学の先生から聞いた話です。特に「取り憑かれた」や、「◯◯が死んだ」などというマイナス要素は含まれていない、先生のちょっとした心霊体験です。

先生が小学五年生ぐらいの頃の話です。ここでは、先生を"A"と呼ぶことにします。

冬休みも近くなってきたある日のこと、先生と男友達二人(ここでは、二人を"B"、"C"と呼ぶことにします)が昼休みの教室でいつものように雑談をしていたところ、Bが、
「夜になると、校庭に幽霊が出るらしいぜ」
と言いました。そしてさらに、
「今夜さ、三人で校庭行こうぜ」
と言い出しました。この時、AとCは特に嫌がることも面倒臭がることなく、賛同しました。Bはもちろん、AもCも幽霊を見たことがなく、そのためこの時は、幽霊に対する好奇心が強かったのです。

三人は夜の七時を集合時刻として、正門前に集まることにしました。Aは、実を言うと、中学受験に向けて通っていた学習塾の予定が夜七時にありました。しかし、この日は幽霊に対する好奇心に負け、サボってしまいました。

そして夜七時になり、三人は正門前に集合しました。この時、Aだけが懐中電灯を持ってくることになっており、Aが明かりを照らす係になりました。校庭に侵入しようにも、学校全体は高いフェンスで囲まれています。しかし、校庭の隅っこにあるすべり台の付近のフェンスには、誰かが空けたのか、フェンスの抜け穴がありました。三人は、その抜け穴から校庭に侵入することにしました。

三人は、正門からぐるっと迂回して、フェンスの抜け穴のある場所に辿り着きました。三人がフェンスの抜け穴を潜り、Aが懐中電灯の明かりを点けました。抜け穴のあるフェンスから見た校庭の風景をざっくり言うと、まず抜け穴のすぐ左手側にはすべり台が、右手側の少し奥まった場所にブランコが、そして左手側のすべり台よりもさらに奥まった場所には、それぞれ高さが異なる三つの鉄棒がありました。

三人は、抜け穴から校庭を左回りに、隅々まで散策しました。しかし、一周して抜け穴のあるフェンスに戻る頃、この時は三人が幽霊を見ることはありませんでした。Bが、
「何だよ。幽霊は嘘だったのかよ。つまんねぇ~...」
と不満そうに愚痴をこぼし、抜け穴からさっさと帰ろうとしました。AもCも少し期待外れに思い、帰ろうとしました。Aはその時、ふと何気なく

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