小さい頃、自宅の2階にオルゴール付きの写真立てがあった。

その写真立てには、小さい人形が写真立てに腰をかけるようにくっ付いている。

これが夜中にたまに勝手に鳴り、人形の首が動く為、それはそれは恐ろしかった。
処分する勇気も出ない為、母は自室に置いたままにしていた。

しかも、オルゴールの音は母にしか聴こえない。
人形の首の動きは俺にしか見えない。
ちなみに人形はただボンドか接着剤でくっついているだけで、オルゴール連動のカラクリは無い
2人で一つの物体を見ているのに反応が違う。

まぁ俺に音は聞こえないし、写真立ての人形を見ないようにしていた。
そもそも母の部屋に入らないようにしていた。

夜中に「オルゴール鳴ってる!!!」って泣き叫び発狂している母の声が恐ろしかったかもしれない。

普通なら、自室に置かずどこかに隠しておけばいいと思うのだが、そうすると夜な夜な母の母(俺の母方の祖母)の霊が直接母の部屋に出るそうだ。

その霊は「なんて事をしてしまったんだ?ちゃんとしなさい」と、泣きながら母に何かを訴えかけてたらしい。

家庭の状況を説明すると、母方の祖母は、俺が産まれる前。
母が高校生の頃に他界。

数年後俺の父と結婚し、父の家に嫁いだ。
しかし、夫婦喧嘩が絶えず、父は家を出てしまった。
母は姑と上手くいかず、嫌がらせをする。
要するに
母と姑(父方の祖母)と祖父、俺の4人暮らし。

さらに母は、不倫や多重債務、虐待や万引き等々ろくでなしだった。

どうやら母方の祖母は、ろくに躾できないまま死んでしまったのを悔いていて、何かと時々現れて忠告してるようだった。

そして年限が経ち

さらなる変化が訪れる。

母含め母の兄弟全員ギャンブル依存症などで破産しかけ、連日ヤミ金の取立てが激しさを増した頃、家族及び親戚で母を追い出そうと考え始め、数年連絡取っていない父に離婚を勧めると二つ返事で同意。

そうして、母を追い出す準備が整い始めた。

そんな頃、今度は夜に家中の時計が狂い始める。
各部屋の時計が、急に全然別々の時間を指し始める。
ある時計は3:23 他の時計は10:40などバラバラ。
更に電池入っていない使っていない時計が逆回転したりした。

またオルゴールが鳴ってると騒ぐ母。
さすがに時計にビビった俺は何故か母の部屋に入ってしまった。
しかし、オルゴール鳴ってると騒ぐのに無音に感じる俺。
ただオルゴールの人形

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