これは私の友人が自宅で体験した話です。

当時友人はその家に家族で引っ越してきたばかりで、入居して数週間経ったくらいに体験したそうです。
その家は、地元ではかなり大きなマンションで、もちろんたくさんの人が住んでいました。
ある日の夜、友人が自分の部屋の机で勉強をしていると、お母さんから、夕飯ができたからリビングにおいでと声をかけられたそうです。時計を見ると19時をとっくに過ぎていて、もうそんな時間かぁ、お腹空いたなぁと、広げていたノートを片付けてリビングに向かおうとした時、ふと誰かの視線を感じたそうです。じーっと見られている、確実に人の視線だったそうです。お母さんはさっき自分に声をかけたけど、部屋のドアの向こう側からで、声をかけた後はリビングに行ってしまったので、部屋の中には自分以外誰もいなかったそうです。だんだんと重くなってくる視線が気になって、怖かったけれど、ゆっくりと振り返って部屋の中を見回してみたそうです。すると部屋の後方の隅に、髪の長い、白い着物を着た女が立っていたそうです。ピクリとも動かず、ただじっとしていたそうです。うつむいているのか髪の毛で顔はみえなかったそうですが、体の向きは明らかに自分の方を向いていたそうです。突然の出来事に友人は怖さを通り越し、何が起こっているのかわからずただ女を見つめていたそうです。すると急に、その女がゆっくりと自分の方に向かって歩いてきたそうです。うつむいたまま、足だけをゆっくり動かし、ふらふらと歩いてきたそうです。もうその女がこの世の者ではないことはわかっていたので、怖さに声を出すことができず、体も動かすことができなかったそうです。女はだんだんと近づいてきます。自分のすぐ目の前に来た時、奇跡のようなタイミングで、お母さんがドアを叩きながら、どうしたの?早くおいで!と大きな声で話しかけてきたそうです。そのおかげで我にかえった友人は、ごめんね!今行く!と少し大きな声で返事をしたそうです。気づいたら目の前にいた女は消え、体も楽になっていたそうです。
そして急いでリビングに向かい、無事に家族と夕飯を食べたそうです。

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