ふと思い出したので。私が唯一見た心霊写真の話。

あれは10年程前だったか、私が中学生だか高校生だかの頃。

私の母方の実家は歩いて10分程の距離にあり、私が通っていた小学校の校門の横にある。

母方の祖母も同じ学校に通っていたようで、当時の写真を見せてもらったことがあった。

祖母と「これがばあちゃんだよー。」「へえー。」などと平穏な会話をしながら写真を見ていると、あることに気がついた。

一枚の集合写真。祖母のクラス全員で撮ったもだろうか。私の知っている校舎とは違う、当時の木造校舎を背景に撮ったものだった。

二列に並んで撮られた白黒写真に違和感を感じた。
よく見ると、前列と後列の間に、おかっぱで着物姿の女の子が写っている。いや、おかっぱで着物なのは時代を考えればおかしくもなんともない。現にその集合写真には着物の子も洋服の子もいる。しかし。何かが違う。

その女の子は、前列の後ろ、後列の前に写っているのに、なんというか、遠近感がおかしかった。

前列の人よりも、後列の人よりも、明らかに顔のサイズが2回り、いや3回り程小さいのである。
そう、まるで日本人形のようなサイズ感であった。

祖母に聞いて見たが「あれー、こんな子いたかなー。」と、覚えていないようだった。
というより、明らかに人ではない。

ただ、不思議には思ったが、怖さを感じることはなく、祖母と2人で「心霊写真だ!」、「不思議なこともあるもんだねー」と話しをして、再び実家の茶箪笥に片付けられた。

その後、実家は建て直され、その写真がどうなったかは把握していない。

ただ1つ確かなのは、祖母も私も健在で、特に霊現象らしきものも起きていないということだけである。結局あの女の子はなんだったのだろうか。悪い霊には思えなかったが。

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