子供のころに近所で動物が行方不明になる事件が相次いだ。

行方不明というよりいつの間にかいなくなってたって感じで、大人からすればよくあるどうでもいいことだった。でも、子供からすれば日常にぽっかりと穴が開く、それは、それは、事件だった。そして、大人が相手にしないとわかると、子供は不思議なほど結束したものだった。自分はボッチだったけど、自然とほかの子たちと待ち合わせて手分けして探した覚えがある。

捜索隊が結成されてから10日がほど経ったころか、河川敷の端で誰かが何かを発見した。

それから、その付近で皆に人気のある近所のお兄さんの目撃情報まで上がった。

それと、お兄さんの体に痣があることや親が異常に厳しすぎて近所が苦言していること、成績が下がると季節に関係なく裸で外に放り出されること・・・。警官でも大人でもどうにもできないことがあるふじょうりというものがあることも分かった。


そこで、みんなで手分けしてスコップとか軍手、板の切れ端なんかを集めて河川敷の端に集合した。あとは、ただ黙々と作業をして、すべての動物のお墓を作った。途中で近所のおじさんが何も言わず手伝ってくれたっけな。スコップとか軍手は男子が回収して、お兄さんの父親のトラックに放り込んだ。

次の日の朝、登校する前に近所が騒がしくなったので見に行くと、お兄さんがパトカーに乗っていた。お兄さんの父親が警官にお兄さんを逮捕するように怒鳴りつけていた。
急いでほかの子に招集をかけると、リーダーシップのある子が警官に「昨日はみんなで遊んでいた」と証言した。お兄さんの父親はうそをつくな!と喚いたが、子供たちはひたすら一緒に遊んでいたと証言した。すると、近所のおじさんが「あぁ、俺も見たぞ。みんなでかくれんぼしてたわ」と・・・。さらに、次から次へと「そうそう、笑い声が聞こえてたけど、遊んでたのね~」、「なんかみんなでワイワイしてた、してた」という声が上がった。お兄さんの父親はブチ切れて近所の人に殴りかかり、連れていかれたまま二度と戻ってこなかった。起こり過ぎて倒れて、目が覚めないらしい。

先生も親も近所の人も悪いことじゃないから、が口癖だった。

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