前にボンベの運送をやってた時の話です。

当時自分は酸素ボンベの配送をしており、毎日決められたルートで決められた建物にボンベを届けたり回収したりする仕事です。

その自分が担当していたルートには病院も含まれてまして、運が悪いと専用の白衣に着替えさせられ、手術中の手術室に届き入れる事もありました。

自分が怖い思いをした日も運悪く手術の最中にボンベを届け入れた日でした。

その日も予定のルート通り納品を済ませてまわっており、件の病院にボンベを納めに行った際です。

そこの病院にボンベを納品する際は1階の貯蔵庫に運搬するか地下にある手術室エリア内の貯蔵庫(恐らく手術中に使用するボンベ専用の貯蔵庫)のどちらに搬入するか指示されます。そして、その日は手術室エリア側への納品を指示されました。

上に書いたように一度白衣に着替えボンベと台車に殺菌用のスプレーを掛け地下の手術エリアへと入りました。目指すは通路の突き当たりにある貯蔵庫です。貯蔵庫まで続く一本道の廊下の両脇にはそれぞれ手術室が3つずつ並んでおり「手術中」のランプがいくつか点灯している部屋もあり、「今この壁一枚向こうで生死を彷徨ってる人がいるかも知れないのか」と複雑な気持ちで作業にあたりました。

丁度ボンベを運び終え、台車を転がしてまた来た道を折り返しているところで目の前の手術室の扉が開き中から布を被せられた人が乗った台車が運び出されてきました。

台車に乗っていたのは黒い長い髪が顔にかける布からはみ出てたので女性でしょうかね、あと周りの人の雰囲気で何となく乗ってるのは仏さんだろうなと思い「嫌なもん見ちゃったなぁ」とか考えながら台車等大きめの荷物を搬入できるエレベーターが1ヶ所しか無いのでその台車の少し後ろを距離を開けて同じ方向に歩いて行きました。

その後はとりあえず何事もなく納入を済ませた事を事務に伝え、残りの物件にも荷物を届け問題なく会社まで戻れましたね。その何かあったと言うのがその日の夜になります。

うちの会社は取引先に病院が多いので深夜の緊急連絡にも対応できるよう毎日2人一組で夜中の事務所番をする事になっています。

そしてその日が丁度その事務所番の日で、日勤の終わった後に休憩して夜中の9時から朝7時までの事務所番に備えました。

まぁ事務所番と言っても緊急連絡さえ無ければ簡単なもので、基本的に当直室扱いの座敷部屋で適当にTV観てたり当番は毎回2人居る

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