今でも結構トラウマになってる出来事。

俺は当時高校生で、部活には入ってなかった。で、俺は歩きで学校に通ってた。家の近くに横断歩道があって、信号待ちしてたら、俺の隣で信号待ちしてる親子がいた。お母さんは優しそうな三十代後半くらいのおばさんで、子供は五歳くらいの男の子。仲良く手繋いで、今日の夜ご飯はね〜、みたいな話してた。見てるこっちもニコニコしてしまうようなそんな感じの雰囲気だった。でも、急にトラックが突っ込んできて、男の子をひいてった。トラックはちょっと進んだ道路のど真ん中で止まった。おばさんは、「うわぁぁぁ!」って叫びながら走って男の子の方へ行った。周りの人とかもブワッてその親子を取り囲む感じで覗き込む。中には写メ撮ってる奴もいた。俺もそこに駆け寄って、おばさんに「救急車呼びます!」って言った。でも、おばさんは、ずっと男の子を抱いて泣きじゃくってた。男の子は左腕が無くて、足が変な方向へ曲がってた。でも目は開いてた。トラックに乗ってたおじさんが出てきて、その男の子を見て、「まだ生きてる!救急車呼んでくれ!!」って周りの人に叫んだ。スマホ持ってた若い人とかおじさんが急いで輪の中から抜けて電話してた。トラックのおじさんは「すまん、俺が悪い…。許してくれ…」って男の子のそばでずっと言ってた。おばさんはもう泣いてなくて、ぼーっと男の子のほうを見てた。そしたら急に、「殺してよ!!あんたがひいたんだろ!もう一回ひいて殺して!!腕も無いし足も変だ!殺せ!殺して!!!」って叫んだ。おじさんはびっくりして、「なんてこと言うんだ!まだ生きてるんだぞ!」って。おばさんはずっと「殺して殺して殺して」って言ってた。ひかれる前の親子の姿からは全く想像つかない光景。結局その後救急車が来て、男の子とおじさんとおばさんを乗せてった。その時もおばさんは「殺して!ひいてください!」って言ってた。もう俺、おばさんの変わりようにビビって、震えてる足で走って家に帰った。男の子がどうなったか知らないけど、おばさんはあんなに仲良かった男の子を殺せなんてなんで言ったのかが分からない。もしかしたら、これから色々学校に行ったり就職したりする中で、腕がなかったら可哀想、とかで言ったのかなぁ、なんて…。これが、俺が今まで体験した中で1番怖かった体験。

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