赤く染まるバスタブ。
血の気が引き、青白くなってゆく私の身体。
眠気と寒さに包まれた私が最後に願った事は
『死にたくない』
だった。
所謂私はクラスのいじめられっ子というヤツだった。
そのきっかけは、どうしよう無くくだらない理由。
私はある男の子に告白された。
その時の私には、男の子と付き合うなんてとてもじゃないけど考えられず、結果的にふってしまう事になったのだが、それがいけなかった。
可愛さ余って憎さ百倍ってこういう事なんだな。
その男の子は私がとても酷いふり方をした挙句、根も葉もない噂までばらまいてくれた。
そして、運の悪い事に、私のクラスの一人がその男の子の事を好きだった。
私とその女の子では、社交性のレベルが天と地ほどの差があり、元来口下手な私は悪い噂を消して回ることなんてできない。
いつの間にか私は学校一の悪女というレッテルが貼られてしまった。
学校に行けば上履きがない。
ノートや教科書は隠されたり、破かれる。
机には悪口を書いた紙が貼られている。
班行動などはもちろん私はいない存在。
トイレの個室に閉じ込められて、水を掛けられたりした事もあった。
そんな毎日でも、私には支えてくれる友達がいた。
小、中、高と一緒に過ごしてきた、親友と言える友達。
由美と仁美。
この二人がいたから、私は辛い日々でも過ごしていけた。
クラスが違う私の事をいつも気にかけてくれて、私を地獄のような世界から連れ出してくれる休み時間だけが、あの時の私に許された平穏に過ごせる時間だった。
夏休みになり、僅かな時間ではあるが苦痛の日々から開放された私は、由美と仁美と一緒に束の間の幸せを楽しむ事が出来た。
カラオケに行って声が枯れるまで歌った。
ちょっと遠くの海に行き、ナンパらしきものをされて、困惑して固まる私を見て笑う二人。
三人でパジャマパーティーをして夜通し話をして、お母さんにうるさいって怒られた。
肝試しと称して近所で噂の心霊スポットに行った時、急に仁美が『あそこにいる』とか言い出した時は、由美と二人で涙目になった。
花火大会には三人で浴衣を着て見に行ったね。
ずっと三人一緒だったね。
ホントに、ホントに楽しかった。
夏休みが終わりに近付き、もう少しで新学期が始まるある日、私はとてつもない恐怖に襲われた。
今まで楽しかった日々と