このお話しは、
私が小学4年生頃に
実際に体験した出来事です。

ある夜のことです。

私は、二階へ上がる、
真っ直ぐな階段を挟んだ、
真ん中の部屋にあたる
自分の部屋で寝ていました。

部屋の入り口は、引き戸でした。
階段側に頭を向けて、
シングルベッドを置いていました。
昔のベッドで、
頭の上側に本を置いたり、
ライトが付いていたりする
棚がありました。


そして、
いつものように寝ていると、
階段の一番下から、
生肉を叩きつけるような音がするのです。
それもとても大きな音で…。



一段上がると「ベタンッ!」


また一段上がると「ベタンッ!」


………。



肉の、それも生肉を引きずって、
一段、上がる時に叩きつけるような音です。



そして、その音が段々と
二階へと近づき、
一段……、また一段……と
近づくと同時に「ベタンッ!」
という音もさらに大きくなり、
最後の一段を上がり終えると、
私の部屋の前で止まりました……。



私はこの時すでに、
金縛りに遭っていて、
身動きが取れませんでした。

そして、意識がある中、
目をつぶっていると、



「スーッ……………」



と、引き戸が開きました…。



私は途端に、恐怖を感じました。



そして、ベッドの頭側の棚、
両端に、何かの手らしきものが
引っ掛けてくる気配を
感じとっていました。


そして、


普段、
小さなオレンジ色の明かり(豆球)
を点けて寝ている、
私のぼんやりとした明かりの
目をつぶっている瞼が、
一気に、真っ暗になりました。




そうです……。




両端に引っ掛けた、
その手らしきものは
その手を引っ掛けて、


私を覗き込んでいたのです。




私とは反対の方から……。




枕元の後ろ側から、手らしきものを
引っ掛けて、覗き込んでいる………
顔の向きは反対になり
重なって向き合って
いることに………

一気に心拍数が上がり、
恐怖が限界まできました。




私は力いっぱい、目をつぶっていました。




そして、子どもながら恐怖のあまりに、
拙いですが【般若心経】
を唱えていました。


薄れていく意識の中、
気がつくと朝を迎えていました。





今でも、
あの時、
目を開けていたら、


何かを見ていただろうと
思い出すことがあります。


そして、
あの生肉を叩きつけるような音……。

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