私はどんな仕事に就いても、夜勤だけはしたくないと思っている。
そのきっかけになった出来事を今回は話そうと思う。

これはまだ私がフリーターの頃、結構古くからあるファミレスのキッチンで仕事をしていた時の話。
フリーターということで、人手の足りない時間帯に入れられるのはよくあることで深夜帯を頼まれた。
何も考えずに二つ返事でオーケーした。

深夜帯、そしてクローズ作業は思ったよりやることがある。
深夜にキッチンで一人きりで作業するという怖さより、忙しさが勝り、初めは仕事に集中していた。

ある日も仕事始めキッチンに入り、手を洗いペーパーで拭いていると…
先ほど使ったセンサーで水が出る水道から勝手に水がジャーと流れた。
(センサー感知が鈍かったのかな?)と軽く考え仕事に就いた。

しばらくすると、ホールのクルーから
「ノーゲス(客がいない状態)です」
と言われ、時計を見ると午前2時過ぎぐらいになっていた。
しかしキッチンはここからが忙しい。
各所の清掃や鉄板を削ってピカピカにしたり、出でいるものを大きな冷蔵庫にしまい…。

そうしているとホールのクルー(Kさん)が声をかけてきた。
「あのぉ…ノーゲスのはずなのにトイレから音がするんだけど…」
もともとビビリの私は「えぇっ…!」と声を上げつつホール側に出た。

「強盗とかだと怖いから、一緒に見てくれない?」
と言われ、幽霊だと怖がっていた自分を説得しKさんと一緒にトイレに向かう。

Kさんがトイレに続く扉を開けると、音は洗面台の方からしている。
私は怖くて後ろでガクブルしているとKさんが声を上げた。
「あぁ〜!なんだこれか!」
声につられて見て見ると、センサーで水が出る水道からジャー、ジャーと一定のリズムで水が出続けていた。
(こっちも勝手に水が…)と思いつつ、Kさんは疑問が解消されてスッキリしたようで水の止め方を探っている。

Kさんが「このボタンで手動に切り替えられるみたい」とボタンを押すと、水が止まった。
ふぅ…と私は小さなため息をつくと、Kさんは
「ごめんね、私より若い子盾にして…、ちょっとそっち系かな?って怖かったの」
と両手を前に出して幽霊の真似をしながら言った。
「えっどういう…?」
私は思わず聞いてしまった。


Kさんも人伝に聞いた話らしいが、
昔このファミレスができる前は、ここは墓地だったらしい。
墓地を壊して作ったので、それから色々不可解なことが起き

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