これは、つい最近あった出来事です。

会社の懇親会が終わった帰り、人で賑わう改札を抜ける途中に一際目立つ女性に目をとめた。

その女性は、鮮やかな赤のコートに赤いパンプス、赤いバックを持っていた。
髪は胸下まであり、顔を俯かせていたので見えなかった。

「(めっちゃ、赤が好きなんだな)」

そう思いつつ、その女性を横目に通り過ぎようとした時、全身に鳥肌がたつほど冷気を感じた。
一瞬の事に驚き、後ろを振り返って女性がいるか確認したが誰もいなかった。

最初は、気のせいだと思っていたが、バスに乗り込むと目の前に例の赤い女性が座っていた。
どおりで、寒いなと思いつつ何もせずただ家に帰る事だけを考えていた。
出来るだけ前を見ずに窓の外を眺めていたが、前から強い視線がある事に気付いた。

「(何?あの女の人こっち見てるのかな?)」

怖いと思いながらチラリと前を見てみると、女の後ろ姿しか見えなかった。
やはり、気のせい?と、思いつつじっと女の頭を見つめてると、目があった。

「⁉︎」

いや、ありえない。
女は、こちらを向いていないのにどうして目が合うんだ
混乱しつつも目が離せない。所謂、金縛りにあっていた。
その間、女の頭がゆっくりゆっくりとこちらを振り向こうとしていた。

女の顔を見てはいけない。
私は直感で思いました。しかし、目を瞑る事も俯向く事も出来ません。
焦っている中、本当にゆっくりとした動作で振り返ります。
そろそろ、片目が見えてしまう。その時

「次は〜、終点〇〇です。」

運転手の声と共に私の金縛りはとかれ、女も消えてました。
私はすぐに、バスを降り、自転車の鍵を差し込みました。
しかし、どんなにさしてもひいても鍵があきません。
後ろからまたあの寒さを感じつつ、まだあの女がいると悟りました。

必死にガチャガチャと鍵をいれると、やっと鍵があき自転車に跨り息が切れるのを忘れ漕ぎ続けました。

「(これだけ、距離を離せばあの女もいないでしょう……)」

と、余裕がうまれ後ろを振り返ると、走ってついてくる女がいました。
長い髪を振り乱し顔が露わになっており、つい見てしまいました。
顔は普通だったのでしたが、目を見開きニタニタと笑っていました。
その顔も恐ろしかったのですが、女が後ろ向きで走った瞬間頭にもう一つの顔がありその顔も不気味に笑っていました。

そのあとの事は、正直覚えていません。
無我夢中で、家まで漕

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