実家で飼っていた犬の話です。
僕が15歳くらいの時に我が家に来たトイプードル(名前はぺぺです)の♂です。
うちの母親にべったりとくっついて、片時も離れずにいわゆるマザコン的な犬でした。
ぺぺは僕の事を下に見てて、いつも喧嘩相手になってました。ちょっと嫌がらせをすると
やり返しで、靴の中にう○ちをされたりとか、まるで本当の人間の兄弟みたいな中でした。
僕が地元を離れて都会で過ごして10年以上が経ちました。
母親にたまに電話すると元気良くぺぺがいつも電話の向こう側から吠えてました。
ある日、彼女と僕が飼っているぺぺと同種のトイプードルを連れて、旅行に行きました。
夜も遅くなり寝床につきました。すると
夜中の2〜3時頃だったでしょうか、うちの愛犬が部屋の玄関に向かって吠えてました。彼女が起きて僕を揺さぶって起こしました。
『ねぇ、玄関のとこみて!』廊下の明かりが玄関の隙間から少しもれててうっすら玄関が明るかったのです。
そこには、うちの犬と同じようなシルエットの犬の影がお座りをしてジっとこっちを見ていました。
僕は多少霊感はあるのですが、彼女は全くありません。でも、彼女にもはっきりとその影が見えていました。うちの犬もその影の前に座ったままにらめっこしている様でした。何だったんだろう?と思いながらそのまま眠りにつきました。
次の日、東京に戻りました。その帰り道にスーパーに寄った時、母親から電話が掛かってきました。
電話越しで母親が号泣していました。”ぺぺが今さっき息をひきとったよ。”
ぺぺは17歳まで生きました。目も見えず、よぼよぼで動くのもやっとなのにかすれた声で吠えながら、這いつくばるように、母親を探していたそうです。最後は母親の腕の中で静かに息をひきとったそうです。

もしかしたら、ぺぺは亡くなるのを解ってて最後にわざわざ僕の旅行先に会いに来てくれたのかな。

17年間喧嘩ばっかだったけれど、本当にありがとう ぺぺ。

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