ある日私が父と夕飯を食べ終え就寝しようと思い通路の鍵を締めに行った時、
磨りガラスで出来ている通路の扉に白いシルエットが浮かんでいました。
私は驚いて父に「誰か居るで!お父さんどうしよ!」と言ったのですが父は「誰も居らんわ!はよ寝な。」と何も見えて居ないのかそのまま自分の部屋に行ってしまいました。
私は1人でその影の前に立って居ました。
しばらく呆然とその影を見ていましたがハッと我に返り鍵を締めていない事に気が付きました。
すぐに締めたら良かったのに相手に気付かれないよう、そーっと手を伸ばした瞬間。
外から爪の長いガリガリの手が扉の向こうから入って来ました。
私はすぐ扉を押さえつけながらその手をこれ以上入れないように奮闘し、何とかその手を入れることなく鍵を締めることができました。
そして磨りガラスに目をやった瞬間、
キツネ顔の髪の長い白い顔の女の顔がガラスを透けてこっちまで写り込んで来たのです。
私はそこで悲鳴を上げ目を覚ましたました。
夢でした。
起きた時とても汗をかいていて女の顔がずっと頭の中にありました。
私は本当に怖くて誰にもその話が出来ませんでした。
話してしまうと本当になる気がして。

そして2週間程経った時に弟が私に
「お姉ちゃん。俺めっちゃ怖い夢見てん。」と言ってきました。
その内容は通路から白い着物を着た女の人が歩いてきた。というものでした。
私は「あ、やっぱり入ってきたんや。」と思いましたが弟を怖がらせないように「そんな奴居らんわ!大丈夫やわ!」と強がる事しか出来ませんでした。
自分が考える事で女の人がもっと家に入って来るような気がしてあまり考えないようにしていました。

その日から1ヶ月程経ったある日。
お婆ちゃんが私にこう呟きました。
「怖い夢見てん。恐ろしかったわ。」
その夢の内容を聞くと…

「女の人に馬乗りになられてずっと首締められててん。」

女の人の事はお婆ちゃんには話しておらず弟にも口止めをしていたのに
私達3人が見た女の人の格好、顔はみんな揃って同じでした。

あのキツネ顔の女の人を今でも忘れる事は出来ません。

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