これは僕が小学生のときに体験した話です。
当時、僕の通っていた小学校には、ある怖い噂がありました。

夕方6時を過ぎて学校に残っていると、誰かが廊下を走る音がする。
「自分以外にも残ってる生徒がいたんだ」
そう思って廊下を見に行っても誰もいない。
どっかの教室に入ったんだろうと特に気にも留めないでいると、しばらくしてまた廊下を走る音がする。
そして今度は自分が今いる教室の前でピタリと止まる。
え?と思って、廊下のほうを見ると・・そこには見慣れない男の子がぼんやりと立っていて、教室の中を覗き込んでいる。

大体、このような内容でした。
いつも廊下を走っているので、みんなからは「カケル君」と呼ばれていました。
共通しているのは、その男の子は首から上がなく、男の子の顔を見た者は誰一人いない、ということでした。
僕は半信半疑でその話を聞いていて、正直信じていませんでした。
あの体験をするまでは・・。

夏休みが明けてすぐのころ、夏休みの宿題をサボっていた僕は先生にこっぴどく叱られ、放課後残って宿題をすることになりました。
夢中で宿題を片付けていたらいつの間にか夕方6時を回っていました。
先生が教室に入ってきて、「まだいたのか。今日はもう帰っていいぞ。終わってない分は家でやってこい。」と言いました。
僕はホッとして帰り支度を始めました。

その時、タッタッタッタッという、誰かが廊下を走る音が聞こえました。
「他にも残ってる子が・・?」
そう思いかけたとき、その足音は僕のいた教室の前でピタリと止まりました。
僕は咄嗟に、いつか誰かが話していた”カケル君”の話を思い出していました。

廊下のほうからものすごい視線を感じ、僕は額にベットリと汗をかいていました。
そして恐る恐る廊下のほうを振り向くと・・。
そこには、見たこともない男の子がぼんやりと立っていたのです。
聞いていた話と違うのは、その男の子にはちゃんと首から上もありました。
しかし、肌は焼け爛れていて、両目は眼球と呼べるものはなく只の空洞のようでした。

僕は悲鳴にもならない悲鳴を上げ、教室から転がり出て、一目散に逃げました。
必死に走って、見覚えのある団地の前まできてやっと落ち着くことが出来ました。
あの男の子が付いてきていないか、しばらくは不安な日々を過ごしました。
話しても信じてもらえないと思い、この話は誰にもしていません。
ただ僕はあの日以降、何があっても夕方6

通常版で読む