今から20数年前の話し。
その当時、私の住んでいる街には大きな廃病院がありました。小学生の頃、親戚の叔父が1年間入院していたので院内の間取りは把握していました。廃病院になってからは幽霊が出る。と言う事で沢山の人達が見物入院来ていました。私も若気の至りで友人と行っていました。間取りを熟知していたし怖さもなかったのでツアーコンダクターみたいな感じで案内したりして楽しんでいました。
そんな感じで遊んでいる時に友人と真夜中に霊安室に入りタバコを吸いながら誰か来たら脅かそうという事になりました。真夏の夜中特有の蒸し暑さと蚊の襲来と闘いながら待ち構えていました。
扉は観音開きの鉄製で完全には閉まりません。「蒸し暑いから丁度いいな。」等と話しているとイキナリ「がチャーン。」という轟音と共に扉が閉まってしまいました。大の男3人でもビクともしなかったのに…。
しばらく呆然としていると友人が扉を開けようとしています。室内から押さないと開かないので3人で押し始めました。しかし、開きません。外側から何かが押し返しているみたいで、ほんの2〜3cmしか開きません。初めは「勘弁してよ〜。」くらいでしたが、段々ムカついてきて「開けろよ!ふざけんな!」と怒鳴りながら鉄製ので扉を蹴りまくりました。どのくらい怒鳴りながら蹴りまくっていたでしょうか。イキナリ開きました。その弾みで外に転がり出ました。3人共汗ダクでした。周りには見物人が沢山いて助け起こしてくれました。私は完全にパニクってるわムカつくわで近くにいたアンちゃんに殴りかかってしまいました。他の2人もパニクっていましたがなんとか落ち着きました。暫く見物人(10人位)と犯人探しみたいな感じで言い合いになってたら見物人の1人が「扉を叩く音がしたから見に来た。びびったけど開けたらおたくらが転がり出てきた。」と説明しました。全員???で訳がわからない状態でした。私達も勿論???です。その場はシーンとしていました。
見物人の1人が「なんか、御線香臭くない?イキナリ御線香臭くなるとやばいんだって。」と言った瞬間、全員ダッシュで逃げました。結局、あれはなんだったのかは分かりません。
因みに廃病院は更地になり、高速道路のインターチェンジになりました。

終わり

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