これは私が当時小学生だった頃の話です。
その頃叔母は病気に苦しんでおり、医師からはいつ亡くなってもおかしくないと言われていました。
おばあちゃん子だった私は毎日病院に行き叔母の世話をしました。
息子である私に対して無理に気丈に振る舞う姿が目立ちましたが、日に日に状態が悪くなっていくのが分かりました。
そんなある日私はある夢を見ました。
場所は駅のホーム。電車が停まっておりそこには様々な年齢層の方が並んでました。特に高齢者の方の人数が多くその中には見たことのない花柄の服を着た私の叔母も並んでいました。叔母の場所は列の中央、下を向き暗い雰囲気でした。
どうしたんだろう…と、思ったとこで夢から覚め朝になっていました。
その日の午後も病院に向かい最近ぐったりしていた叔母の様子を見に行きました。
その日は特に具合が悪く、まともに喋れることも出来ませんでした。
そこで私は夢で見た花柄の服が異様に気になったため祖母のバッグから服を1枚ずつ見ていきました。
しかしそこには夢に出てきた花柄の服はありませんでした。
なぜだか少しホッとし、その日は帰宅することにしました。
そしてその日も昨日と同じような夢を見ました。しかし昨日とは少し状況が違い、花柄の服を着た叔母は列の先頭に立っていました。
夢から覚め、なぜか焦りと不安がこみ上げてきました。
休日だったためすぐさま病院に向かい叔母のところへ行きました。
叔母を見た私は非常に驚きました。
昨日までの体調が嘘のように元気で看護婦の方と楽しそうに喋っていました。
でも私が驚いたのはそれだけではありませんでした。昨日あれだけ探して無かった花柄の服を着ていたのです。夢に出てきたものと全く一緒で、叔母はその服を着ながら「この服を着てから気分がいい」と言っていたのです。
私はその服をあまりいいものではないと思っていたものの元気そうな叔母の姿を見て、服を着替えてということができませんでした。
そしてその日の午後、叔母はいきなりの死を迎えました。寸前まで元気だったので家族にとって嘘のようなことでした。
私は思いました。
あの電車は死を迎えた人たちを乗せあの世へ向かうもので、列は亡くなる人の順番。
そう思うと私はとても悔やみ、悔やみきれないほど後悔が残りました。
夢で叔母を呼び止めていたら…勇気を出して服を着替えさせていたら…どんどん自分が憎く思えてきて、眠れない夜が続きました。そして叔母のお葬式の