友人の車で怖い思いをしてからおまけな体験をした

「いいことだとしてもやはり警察沙汰は社会人としてよろしくない」
「職場でも前例がなく示しがつかない」

ということで、あの後、俺は有給消化という名目で自宅謹慎となった
確かに、今回はラッキーなだけだった

友人の車の前の持ち主が警察が事実確認に訪ねた際、あっさりとひき逃げを認めたから良かったものの・・・
通報して駆けつけた警察官も髪の壁を見たわけじゃないし、あの大量の髪の毛もいつの間にか消えていたのでほぼ幻覚に等しい
まだ確実に立証する証拠がない状態だから、それを知ったひき逃げの犯人もが後になって供述を覆すかもしれない
俺は訴えられるかもしないし、会社の名前から実名が割り出されて復讐されるかもしれない

俺の行動は社会人に許される行動じゃなかった

そんな謹慎三日目のことだった

やることがなくてだらだらと二階にある自室で寝ていると、母親が俺の好きなタイ焼きを買ってきたよと声を掛けてきた
朝飯を食べていなかったので急に腹が減り、いそいそとリビングに向かった

階段を下りて玄関を通り過ぎようとしたら、玄関の新聞受けに白くて太い郵便物?を見つけた
うちの新聞受けは玄関の壁に穴をあけたやつで、家の中と外が繋がっている
そこにバスタオルサイズを差し込んだ感じで、その郵便物?は砂時計のような形をしていた
普通に考えると、配達員が新聞受けの小さな新聞受けにそんな大きなモノを入れるはずがないんだけど・・・
家に居る安心感で、つっかけを履いて郵便物を引っ張ったが抜けなかった
紙っぽいのに布のように引っ掛かって抜けなかった
というか、思いのほか大きいせいで抜けないようだった

あまり引っ張ると破けそうなので外に出ようと玄関の硝子戸を見ると・・・

そこに黒い頭の影を見つけてしまった

その位置と頭の高さからして新聞入れの真横

しかも外の新聞受けの位置から1.5Lのペットボトル並みに太くて黒くい、長ーい首が伸びていた

前回で思い知ったが、俺は怖いと声が出ないタイプだ
恐怖が声にならずに「・・・ぃひ・・・ぃぃい」と空気が出るばかりだったところで記憶が途絶えた
気が付くと救急隊員が覗き込み、俺はリビングのソファーで寝ていた
それ以降、あの黒い髪の毛も変な体験もしてない

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