結婚当時、私は主人の祖父母と同居していました。
一緒に暮らしてみると、
世代の差や、生活のリズム、嗜好も全く違うので、やがて喧嘩が絶えなくなりました。
その頃は、祖父が私の悪口を言いふらすので、挨拶しても、近所の人に無視されたりと、日に日に険悪になり、私は早く祖父が死ねばいいのにと、
願うようになりました。
そんなある日のこと。
いつものように昼食を作った
私は祖父を呼びに行こうと思いました。
普段ならそんな事はしないのに、
その日は、何故だかそう思ったのです。
しばらく歩いて、探すと、
裏山の崖の麓に、
作業している祖父を見つけ
声をかけましたが
耳が遠い祖父には
私の声が聞こえなかったようで、
作業の手を止めて、
なんか言った?そう言いながら、
川岸をこっちに向かって渡ってきた瞬間、ズゴゴゴッー
物凄い地響きのような音と共に
目の前に巨大なものが、
落ちて来ました。
見ると10メートルほどもあるかと思われる大木が、
川に突き刺さるように倒れていました。
その場所はさっきまで、
祖父が作業をしていた場所でした。
あの日
私が呼びに行かなければ、

祖父は作業をあのまま続け
脳挫傷か、頭蓋骨陥没で
死んでいたはずです。

まさか、祖父の死を願う私が助けてしまうなんて…。なんて馬鹿何だろうと舌打ちしたい気分でした。
でもその時、
命を救えた事に喜んでいる自分もいた事に気付きました。

あの日の私は
祖父の守護霊に呼ばれたのだと、
私は今でも思っています。

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