これは、私が中学時代の修学旅行で実際に体験した話です。
修学旅行で京都に行くことになり、バスで移動していた時のことです。
元々霊感の強い子の集まりだった私のクラスでしたが、このことに気付いたのは私だけだったようです。
ソレは近くの席の窓側に座っていた男子生徒の頭上にいました。
黒くて丸い〝影〝と思しきソレはしばらくの間、バスの窓側に張り付いていました。
私は怖くなり、サッと目を伏せました。
しばらくして顔を上げると、影は消えていました。
一安心した私はホテルに着いてからもその影のことは誰にも言わなかった。
いえ、私自身が忘れようとしていたのかもしれません。
その夜、疲れた私は一足先に眠りにつき、翌日の朝までぐっすりと眠っていました。
翌日目が覚めると、部屋の中がざわついていました。
誰よりも先に眠ってまった私は、近くにいた友人に恐ろしいことを聞きました。
夜遅く、クラスのほとんどが眠りについたときです。
見回りの先生が私たちの部屋に来た時、備え付けの浴室から音がするといって覗きにいったそうです。
すると、絶対に使うなと言われ誰も使わなかったはずの浴室で、浴槽の中や周りに水しぶきが。
浴槽の中に長い、女性の髪の毛がいくつか残っていたそうです。
後であの夜起きていた子に聞いたのですが、みんなが寝静まったあの時間、小声で話す女子生徒の声以外に、微かです。
微かですが、まるでシャワーのような水音が響いていたそうです。

あの夜みんなが寝静まった時間、浴室にいた人は――― 一体、誰だったのでしょうか?

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