エレベーターにまつわる怖い話といえば一般的に心霊現象なのだが、私の知人は違った形で恐怖を味わう羽目になった。
マンションの上層階に住む彼は毎朝5時に家を出る。この時間帯は住人と会うことも無くエレベーターに乗れる。もともと相乗りが苦手で必ずエレベーターが止まっているのを確認してからボタンを押すらしい。
ある日、いつもの様にエレベーターを呼び出して1階へ向かう。
5... 4... 3... 2..ピンポ~ン
無愛想なおばさんが乗ってきた。
挨拶したが無視された。
手にしたゴミ袋からは強烈なニオイ..
(階段使えよ! クソババァ!!)
たまらずドアが開いた瞬間に外へ飛び出した。早朝からろくでもない思いをさせられた訳だが、彼の不幸はさらに続く。
次の日またゴミ袋ババァと遭遇、その次の日も..
いい加減イヤになった彼はいつもより早く家を出ることにした。しかしまたしてもババァが乗り込んでくる。次の日は逆に時間を遅らせてみた。が、2階で止まり強烈なニオイと共にババァ登場..
(クソッ 何なんだ一体)
翌朝彼は無人のエレベーターを下に仕向けてみた。階数ランプを見ていると案の定2階で止まる。
(ざま~みろ クソババァ)
してやったりでエレベーターを呼び意気揚々と1階に向かった。 その刹那
2階 ババァ登場
乗らなかったのだ
オレがいなかったから
ノイローゼになった彼はもう階段を使うしかなかった。重い足取りで下に降りてゆく。2階の踊り場から気付かれない様にエレベーターホールを覗いてみたら..
いた!!
エレベーターの前で立っている。
そしてあることに気付いた。
呼び出しボタンを押してない
オレを待っている
彼は速攻で引っ越したらしい