ある夏の晩、某県境にある林道を目指して車を飛ばしていた。
家から約2時間、それでも夏の間は頻繁に通っていた。

何故か?
涼しくて人が誰もいないからだ。
実は一般車は通行禁止なんだけどゲートが無施錠だから勝手に入り込めるのだ。
都会とはまるで違う別世界。

日付が変わる頃には山の中腹にいた。冷房を止め窓を開けて真っ暗な山道をチンタラ走っていると遥か下の方からバイクの音が聞こえてくる。

地元の走り屋か、かなり飛ばしてる様なので後ろに付いたらやり過ごしてしまおうと更にタラタラ走っていた。

程なくバイクの爆音が後方まで迫ってきたのだが、ライトも点けず音だけで姿が見えないと思ったら急に気配が無くなってしまった。
こっちの車に気付いて止まったのか?

そのまま走り続けた。

程なく山頂のトンネルに到着。
車を降りて一服していたらさっきのバイクの音が聞こえてきた。  
ただ、またしても見えない場所で止まっているようだ。
関わりたくないので見ないようにした。


次の瞬間、バイクが急発進。

目の前を通過する。





誰も乗ってない





無人のバイクが猛スピードでトンネルの中に消えて行く



これはヤバいとすぐに車に飛び乗った。

また戻ってくるかもしれない。
バイクが相手じゃ逃げられない。
身動きがとれなくなった。
戻って来ないことを願ったが




トンネルの奥から爆音




アクセル全開でやってくる




爆音だけが通りすぎた




頭の中は真っ白。
夢中で来た道を逃げていた。
やっとの思いでゲートに到着。
降りたくないけどゲートを開けなきゃ進めない。
車を降りて後ろを振り返る。







爆音が山の中へ消えてゆく






ここには来るなという警告なのか

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