Aさんが暗闇の河口で夜釣りをしていた時のこと。
突然の雷雨になり、遮蔽物のない河川敷で釣りを続けるかどうしようか惑い、一緒に釣りをしていた仲間のYさんの方を振り返ると、数発の稲光が走って辺りが昼間のように照らされたそうです。
あまりの明るさと、直後の轟音にこれはアカンと思ったAさんが雨の中、Yさんに指差して帰ろうと合図を送り、Yさんも頷いて片づけを始めた時、再びの落雷。
「 」
その時、連続の雷光で照らし出されたYさんと、その足元の護岸を見たAさんは一瞬でソレに気づき、再び、連続で落ちる雷から大慌てで逃げるように、片づけ途中のYさんを強引捕まえて、近くに止めてあった車の中に逃げ込んだそうです。
「雷凄かったけど、大慌てで逃げなくても」
などと言うYさんの不平を適当に宥めつつ、Aさんは雷雨の中、その場からとっとと逃げ出したそうです。
「それで、何を見たの?」
そんな話を聞かせてくれたAさんに、そう問うと、
「川の中からYの足元に這い上がってくる人」
厭そうに話してくれました。