た村瀬さんとは
まるで別人のようでした。

私は どう接してよいのやら少し
村瀬さんとの付き合いに困惑するように
なりました。


そんな中、村瀬さんの姑さんが体調を崩し
入院されたのです。

それまでは姑さんと顔を合わせたくなく
パート以外の日でも何処かしらに
出掛けていたようですが
姑さんが入院したのを機に 家にも
来なくなりました。

きっと、姑さんが入院した事で
家事やら見舞いやらで忙しくなったのだろうと
思っていました。



それから一年もしないうちに
姑さんは亡くなられました。

姑さんの葬儀の時、久し振りに
村瀬さんをお見かけしたのですが…



初めは村瀬さんだと気付かないほど
村瀬さんは変わり果てていました。

以前は割りと ふくよかな方だったのですが
すっかり痩せ細ってしまい
姑さんと同年代と思えるほどに
老けて見え 私は動揺してしまいました。

お焼香を済ませ、村瀬さん ご夫妻に
礼をした時、村瀬さんと目が合ったのですが
私の事など覚えていないような感じでした。




切ないような悲しいような
なんとも言えない気持ちで
少し涙が こぼれました。








それから半年後、私は村瀬さんの葬儀に
参列していました。

が、その時の事は あまり覚えていません。
ただ、

『婆さんに引っ張られたな…』

と誰かが呟いた言葉だけは
ハッキリと耳に残っています。





月日が流れ、当時の事を冷静に思い返す事が
出来るようになり、ふと、思う事が あるのです。




言霊…



村瀬さんの葬儀の時、誰かが言っていた事。

『婆さんに引っ張られた』…




村瀬さんは本当に引っ張られたのでしょうか?…

姑さんとの仲の悪さは周知の事実でしたから
本当に姑さんに連れて行かれたのかもしれません。


でも…





村瀬さんの生前の言葉、

『あの世に化けて出てやる!』






もしかしたら…

村瀬さんの言葉が脳裏をよぎるのです。

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