皆さんは『ことだま(言霊)』という言葉をご存知だろうか?

言葉には魂が宿っており 他人を憎んだり呪ったりするような
言葉を発すると それが現実になると 古代より言われているそうです。




私と兄は子供の頃から言霊について その意味や
実際に言霊が原因で起きたと思われる不幸な出来事などを
祖母から聞かされていました。
そして、祖母は必ず最後に



「だから お前たちも決して人さまの事を悪く言っては いけないよ」



と締めくくった。






話は変わり、これは今から20年ほど前の話である。

当時 私は、結婚して現在の地に移り住む事になった。
近所には村瀬さん(仮名)という女性が住んでいたのだが
同年代だったのと朝のゴミ出しで よく一緒になった事から
すぐに親しくなった。

村瀬さんは明るく社交的な方でしたが
決して他人を詮索するような事はなく、
一緒に居て とても居心地の良い人でした。
いつしか、村瀬さんを家に招いて お茶する
間柄になっていたのですが…



ある日の事、別の ご近所さんから
聞きたくもない事を聞かされました。
村瀬さんは姑さんと同居されていたのですが
嫁、姑の仲は かなり悪かったようです。

しかし、そんな事を聞かされても
私はピンと来ませんでした。
なぜなら、村瀬さんから姑さんの悪口など
一度も聞いた事が無かったからです。



何処にでも噂好きで暇な人って居るんだな…

私は辟易しながらも軽く流していました。




村瀬さんと懇意にするようになって
どれくらい経っていたでしょうか…

他人の事は詮索せず、悪口など言った事の無い
村瀬さんが徐々に姑さんの事を口にするように
なったのです。

しかし、私は驚きませんでした。
実は その頃、村瀬さん宅の
嫁、姑問題が深刻である事を
私も知ってしまっていたからです。

町内会の集まりなどでは村瀬さん宅の
家庭内の話を聞かない事が無いほどでした。



そして、村瀬さんも一度 口にした事で
歯止めが効かなくなったのか、
家に来る度に姑さんの悪口を言うように
なり、ヒートアップしていきました。



『あーの婆さん、絶体に許さないっ』

『死んだら私の方が あの世に化けて出てやる!』


姑さんが この世に化けて出るのではなく、
村瀬さんが あの世に化けて出る…


そのような事まで口にするように
なりました。
一緒に居て居心地の良かっ

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