Wという、俺の友達だった人の話だ。
Wは小学生の頃ひどいいじめにあっていて、いじめる連中の中心はSといった。
Sはクラス中に、
「こいつ、本当は親がいないんだって!」
と叫んだ。
Wがかわいそうなのでその他は書かないが、俺意外のクラスの全員が笑った。
Wは気が弱く、いつもは泣いてしまうのだが、その日は違った。
突然ケラケラと笑い出し、
「後悔しろ」
とSよりずっと大きい声で叫んだ。
それ以降、家に帰らなかったらしい。
間も無くSは謎の病気で亡くなり、Wも同じ病気で亡くなって森に倒れているところを発見された。
きっと、Wは苦しかったんだと思う。
何十年も経った今思うと、まだ助けられたんじゃないかと思ってしまう。