私が住んで居た小さな村の話です。
「泣き夢と笑い夢」
という言い伝えが村には有りました。

泣き夢は、夢から覚めた時涙を流していたら、その村に災いをもたらす。

笑い夢は、想像つくだろうけど、幸運をもたらす。

という簡単な言い伝えだった。
しかし、小さな村ではこんな馬鹿馬鹿しいことも絶対視されていた。

私は何度も、笑い夢を見た人には村で収穫した米や野菜、山菜などを大量に供えられる光景を見てきた。

それはそうだ。自分が不利になるのに、泣き夢を見たなんて言う村人は誰も居なかった。

しかし、その時がやって来たのだ。
村長の奥さんが泣き夢を見てしまった。
村長ともあろう方が隠蔽を測ることは出来なかったのだろう。

早朝に村人全員を集め、会議を始めた。
結果、、、
村長の奥さんは火刑となった。
最早魔女の扱いそのものだった。
十字架ではなかったが、鉄格子に手足を縛られ彼女は焼かれた。

その時の彼女が発した言葉は今でもしっかり覚えている。

「南馬宿村に栄光あれ」

馬鹿馬鹿しい…
命を犠牲にしてまで村を守りたいのか?
いや、そもそも夢ひとつで人の命が奪われていい訳が無い。

私は村のやり方に反発し、15歳にしてその村を出た。
村を出てから10数年経ったが、未だに村は存在するようだ。
最近になってホームページを見ましたが、相変わらずのようで、当時を思い出しました。
この村には近づかないことをお勧めします。

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