これは、私のいとこのお母さんのK子さんが体験した話です。

K子さんの住む所では、赤い口紅を身につけてはならないというしきたりがありました。

ある日、K子さんは遠出をするため、化粧をしていました。しかし、赤ではない色の口紅がもう無くなってしまったので、ここに嫁いで来る前に使っていた赤い口紅を塗って外に出ました。
すると、外で待っていた旦那さんがいきなり叫びだしたのです。
「お前!赤だけは…赤だけはやめろ!塗ってはだめだ!赤だけは…」
「え?」とK子さん。
すると、旦那さんの目の焦点が合わなくなってきたのです。
「赤は…やめっ!赤…あかっ…あかあかあかあかっ!アカっ…きゃはははっ!きゃはははははっ」

笑い声は上げてるものの、目が笑っていないどころか焦点が合っていないので、怖かったそうです。

すると、旦那さんがいきなり刃物を取り出し、指の先を切って血を出し始めたのです。そして、出た血を唇に塗りたくり始めました。笑いながら…

K子さんは急いで警察に電話しました。警察は
「それは危ない」と言って急いで来てくれました。しかし、その時には腕や足を切り、出た血を唇に塗りたくっていました。「きゃはははっ!あかあかあかあかっ!きゃはははははははははははは…」


「いやああああああああ!!!」K子さんはとっさにバックの中の赤い口紅を投げました。その瞬間、旦那さんは膝から崩れ落ち、意識を失いました。命に関わる怪我では無かったそうです。

何故、この土地では赤い口紅を身につけてはならないのか…
それは、この土地にいた年頃の若い娘が、結婚式につける赤い口紅が欲しいあまりに人を殺して金品を奪い、口紅を買ったからなのです。しかし、罪深い行為をした娘は鬼になってしまいました。そして、赤い口紅を付けた女を次々におそったのです。あの、「あかあかあかあか」「きゃはははっ」という声をあげながら、襲った女の血を唇に塗りたくりました。そのおかげで、唇は赤黒かったそうです。この事件が起きてからは、この土地では赤い口紅を付けないようにしたそうです。

この話は、誰に聞いてもわからないでしょう。タブーなのです。この土地は関東地方のどこかにあります。もしかしたら、あなたの住んでいる所かもしれません…

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