以前、大学の後輩の井崎から聞いた話である。

彼は神奈川県のある町に住んでいるのだが、その町にはYマンションと呼ばれる地元では有名な心霊スポットがあったそうだ。

Yマンションは今では取り壊され、更地となっており新しく一軒家が建てられている。

知らぬ人が通れば何らおかしい雰囲気などはない(実際に私も彼に案内してもらい、Yマンションの跡地へ連れて行ってもらった)普通の場所のように思える。

しかし、実際にYマンションが建っていた頃を知る井崎や彼の友人数名などは、その不穏な雰囲気を今でもはっきりと覚えており、皆一様にYマンションについて語る時は「あそこは本当に危ないんです」と前置きする。

かつてYマンションが有名な心霊スポットであった頃を私は知らないが、詳しい人に話を聞けば何でも外装は如何にも廃墟となっており、中は不良や浮浪者の溜まり場となっていたのか外以上に荒れ果てた惨状だったらしい。

そんな場所だからなのか、地元住民からは心霊スポットとして広く認知されているYマンションだが、実際に調べてみたところそこで何かしらの事件や事故があったというよくな情報はなかった。

しかし、心霊スポットとしての噂であれば聞けば聞くほど多様な話が出てきた。

中でも一番多かったのは、背の高い中年の女とその手を取る少女の幽霊の話だ。

この2人は深夜、yマンション入り口エントランスから東に向かって伸びる棟の廊下に出没するそうだ。

明確な出現位置などは聞いた人によって多少違いはあったが、一階でしか彼女たちの姿を見た人はいなかった。

そういった話を集める中で、井崎自身も私があたっていた人達とは別の伝手からYマンションに関する怪談を集めてくれていた。

彼が集めた怪談の多くは私が集めたYマンションに関する情報と似たり寄ったりで、先述した2人の幽霊などの話も含まれていたが、一つだけ私が聞いていないYマンションについて怪談があった。

それは井崎の友人で金目さんという女性が話してくれた実体験であるらしい。

井崎から伝え聞いた話をまとめると以下のような形になる。

その晩、金目さんは高校からの友人3人に誘われてYマンションへと肝試しに向かったらしい。

元々幽霊など信じていなかった金目さんだが、積極的にこういった場所へ足を運ぶのも気がすすまないのでYマンションについては噂程度の話しか知らなかったらしい。

4人で自転車を漕いでYマンション

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