10年ほど前、娘が体験した不思議なお話。怖くはないのでご了承ください。


クリスマスイブの夜。
まだ5歳の娘は、サンタさんからのプレゼントが楽しみでなかなか寝てくれませんでした。

枕元のガラス扉の向こうはキッチンがあるので、おばあちゃんがお茶を沸かすのに電気がついてます。

「ばーば!サンタさんくるから、あんまり暗くしないでねー!」
無邪気な言葉に、おばあちゃんは楽しげに返事をして、小さな電気を1つつけて部屋へ戻りました。
娘はそれを確認してから、早く来ないかな〜とウキウキしながらやっと寝息を立ててくれました。
だいぶ時間が経ってたので、一緒に横になっていた私もつられて眠ってしまいました。

次の日の朝。
目を覚ますと、枕元をじーっと見つめる娘がいました。
どうしたの?まだ早いからもうちょっと寝たら?と言うと、

「プレゼントがないー。。」

でも、悲しんでるというより不思議そうに首をかしげていました。

「夜暗いときにね、サンタさん来たんだよー」
と言うんです。
夢を見たんだねーと返すと、どうやら違うんだそう。

夜中にちょっと目が覚めて、キッチンに明かりがついてるのを見て安心していると、ちょうど娘の目線が廊下の位置にあったんだそうですが、何やらものすごく小さな人間が、体の何倍もある丸いものを背中につけて歩いている影が見えたんだそうです。
サンタさんがプレゼントが入った袋をかついでいるような。
サンタさんがきたー!と思った娘は、そーっと枕元のトビラを開けると、その小さな人間は何かをぶつぶつ言いながら、重そうに大きな袋を背中にせおい、玄関に向かって歩いていってフッと消えたんだとか。

「サンタさん、プレゼント置くの忘れたかなー。じゃなかったら、小さなおっちゃんのどろぼうかなー。」

服は真っ赤なフワフワの上下で、帽子はなぜかニット帽。
袋からは、フォークが1本飛びだしていたそうです。

すごく不思議だなーと思いながらキッチンに行ってみると、昨日あまってたハズのケーキがない!
誰か夜中に食べたな〜と思って聞いてみましたが、家族全員子供達が食べると思いとっておいたといいます。
でも、ない。。。

「サンタさんじゃない?ケーキもっていっちゃったんだよ!だからフォークまでもっていっちゃったんだよ!」

確かに。。
いや、そうじゃない。

15歳になった娘は、クリスマスの時期になるといつもこの事を思いだし話しています。

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