僕の友達の未来(仮名)君は幼少期、他の子どもと同様にサンタクロースを信じていた。
ただ、それも小学生にあがると、いささか懐疑的になっていった。
「両親がね、厳しかったから」
両親とも県の役所に勤めるガチガチの公務員でとても厳しかった。
なので、クリスマスプレゼントに可愛いお人形が欲しいをお願いすると百科事典に。
ゲーム機が欲しいとお願いすると電子辞書になっていたという。
サンタなんていないんじゃないか、うすうす理解しつつもまだ信じたくない年頃だった。
その年のクリスマスも枕元には動物図鑑が置いてあり、がっくり肩を落として未来君は学校に向かった。
「他の子はゲーム貰ったとか、可愛いお人形を貰ったとかそんなのばっかり、惨めだったわ。他の子に【サンタに何貰ったの?】なんて聞かれたくなくて、その日は1日空気のように過ごさなくちゃいけなかったわ」
帰り道も同級生を避けるように、いつもは通らない道を選んだ。
住宅地を抜けて人が少ない公園を抜けるとき、未来君を呼び止める声があった。
振り返ると、おじさんがいた。
両親とも違う、親戚のおじさんとも違う、薄汚れた格好だった。浮浪者ともちがい例えるなら【公務員をくたくたに煮込んだ感じ?】だったという。
「お嬢ちゃん、お嬢ちゃん欲しいもの、ないかい?」
ある、と未来君は即答した。おじさんは
「そうだろう。そうだろう。」
と頷いた。
背広姿じゃない大人の人は未来君の周りにはいなかった。ーだからかもしれない。
(あぁ、この人が本当のサンタさんなんだ・・・!)
幼い未来君はそう考えたという。本で読んだようなお髭は無かったけれども、大きな瞳は湖のように澄んでいた。大きな手で未来君の頭を撫でた。
「お嬢ちゃんにはこれをあげよう。きっと気にいる物が入っているよ。」
おじさんはクリスマスカラーの包装紙に包まれた、バスケットボールくらいな大きさの箱を渡してくれた。
ありがとう、と未来君は声を張り上げてお礼をいった。感触から木の箱だとわかった。
「メリークリスマス!!」
そう言うおじさんに満面の笑みで手を振った。
(なんだろう、なんだろう)
自然にスキップをしそうな足取りになった(ゲーム機かな可愛いお人形かな?)
自宅につくやいなかプレゼント箱を開けると、中には箱にぴったり収まるサイズの壺が入っていた。
(さぁ、なーんだ)
蓋を軽く開け、目を瞑って未来君は手を突っ