くなってしまった。
それからようやく大人になってその恐怖を払拭することができたが、すぐにその恐怖が再び蘇った。
風の噂で、今度は既に成人した私と同い年くらいの子が両目をくりぬかれたらしい。
前の被害者も今回の被害者も今の私と同い年。それはつまり……私を探し続けているということだ。
そう思い至った時、私は恐怖で何も考えられなくなりました。
私が生きている限り、私は狙われ続け、私がそれを避ける度に違う人の目がくりぬかれてしまう。
そう悟った私は、いっそ目をくりぬかれようと自暴自棄になって、夜道をあの日と同じようにあの道を自転車で走っていた。
そして、案の定女の子があの日と同じ場所でうずくまっている。
私はゆっくりとその子に近付き、言った。
「私の目が欲しいんでしょ?あげるよ」
「ふ、ふふ、ふふふ。おめめちょうだい!」
そう元気いっぱいに女の子は振り返りながら叫び返した。
これまた案の定女の子の両目は黒い空洞がぽっかりと空き、赤い液体が垂れてきている。
そして、私の目にその小さな手を伸ばそうとしてきた。
私はとても怖かったが、それでもやっと恐怖から解放されると思って目を閉じた。
しかし、数秒経っても予想した痛みは訪れない。
「ひっ!?」
不思議に思って目を開けてみると、私は思わず驚きの声を上げてしまった。
私の方に手を伸ばす先程の女の子の身体を、二人の目のない女の人が掴んでいたのだ。
「おめめちょうだい、おめめちょうだい、おめめちょうだい、おめめちょうだい、おめめちょうだい、おめめちょうだい」
女の子はみるも恐ろしい憤怒の形相であの日と同じ背筋の凍る言葉を呟きながら私の目に手を伸ばそうとするが、二人の女の人が女の子の身体を掴んでそれを許さない。
それから徐々に女の子が引きずられていき、私から遠ざかって行く。
「おめ……ちょう………だい、お……ちょ……い……」
そして、完全に女の子の声が聞こえなくなった。
私はその場にへたり込んで数十分くらい放心していたが、やがて通りすがりの人に話かけられて我にかえり、自転車をゆっくりこいで家に帰った。
それから考えたが、おそらくはあの女の子の後ろにいた女の人二人は女の子に目をくりぬかれた女の人なのだろう。
私を助けてくれたという見方もあるが、それは違うとなんとなく思った。
彼女達