これは友人から聞いた話です。

話す上では三人称では文が少々ややこしくなってしまうので、一人称でその友人目線で話します。

これはバイト帰りに暗い夜道を自転車で走っていた時に起きた出来事です。

はぁー、バイトだるかったなぁ〜と取り留めもないことを考えながら私が暗い夜道に自転車を走らせたていた時でした。

不意に小さな年齢は五、六才とおぼしき女の子が道路の端に座り込んでいるのが目に入りました。

今は深夜0時にも差し掛かる時間帯で、普通なら不気味に思うものですが、その時は何故か不気味には思いませんでした。

それどころか、どうしたのかな?迷子なのかな?とその子のことが心配になり、自転車から降りて声をかけてみることにしました。

「どうしたの?大丈夫?」

「……………」

自転車から降りて女の子に近づき、中腰になって優しく声をかけましたが、返事がありません。

「どうし」

「お姉ちゃん……」

不安過ぎて聞こえないのかな?、と思い、再度声をかけようとしましたが、その声がうずくまる女の子の声に遮られました。

「ん?何?」

少しでも女の子の不安をほぐしてあげようと、更に優しい声音で聞き返しました。

口元には小さい子を慈しむ様な笑みが浮かんでました。

しかし、それは女の子が不意に立ち上がって背中越しに発した言葉によって凍りついてしまう。

「おめめちょうだい?」

その声は無邪気だが、それ故にぞっとする何かがあった。

それから女の子が何か得体の知れないものだと気付いて、離れようとしたが、金縛りのように身体が動かない。

そして、女の子がこちらに振り向いた。

両目があるはずの場所にはぽっかりと黒い空洞が空き、そこから赤黒い液体が垂れている。

「おめめちょうだい?」

そう、再び女の子は私の目を黒い空洞に捉えて呟いた。

途端に金縛りが解けて、私は一目散に自転車が止められているところまで走り、自転車を猛スピードで走らせようとする。

しかし、自転車に乗ってペダルを漕ごうとした時に右手を何かに掴まれた。

恐る恐る自分の右手を見ると、先程の女の子が私の右手の二の腕を掴んでいた。

「おめめちょうだい」

再びそう呟き、私の右手を恐るべき力でギリギリと締め上げてくる。

もう私はパニックに陥り、今思えば火事場の馬鹿力だったのだろう。

慌てて自分でも信じられな

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