悪魔の詩訳者殺人事件とは、 1991年7月11日、サルマン・ラシュディ著『悪魔の詩』 日本語訳者・五十嵐一助教授が 筑波大学のエレベーターホールで刺殺された事件です。
日本でもイスラム過激派のテロはとうの昔に始まっていた、 と思わせる点が怖ろしい。
イギリスの作家サルマン・ラシュディの小説 『悪魔の詩』(1988年出版)が預言者ムハンマドを冒涜しているとして、 イスラム教徒の反発を生んだが、中でも当時のイランの最高指導者 ホメイニ師の出した死刑宣告が強烈で、これを実行した人に 数億円もの懸賞金まで提示するものさえいた。
これに従ってラシュディや各国の翻訳者など 関係者が襲撃された事件の一つと考えられている。
もっとも、犯人が捕まっていないから、本当にホメイニ師が 『悪魔の詩』作者・訳者に下した死刑判決のせいかどうかは、 藪の中であるが。
日本は安全、isisiなど遠い外国の話、 巻き込まれるのは紛争地域にのこのこ出掛けていく方が悪い、 などと言っていられない。
つくば学園都市のようなのどかな所で殺人が行われたのも驚きだった。
あんな部外者が入って来ればすぐわかりそうな 閉鎖空間で殺人が行われたのだから、 当時は犯人はずぐ捕まるだろうと思えたのに、 結局、未解決のまま2006年に時効を迎えた。
犯人が国外逃亡しているのであれば、 時効は停止しているので今でもまだ犯人逮捕の可能性はあるが、 陰謀論的に「犯人の目星はついているのだけれども、 日本政府がイランとの関係が悪くなることを恐れて わざと逃がしたのだ」などとも噂されている。
人殺しという明らかな犯罪行為に対して 政治的判断で捜査に圧力を掛けるなどという事があるとしたら、 その点でも怖ろしい事件だ。